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五叉路

通るべき大通りが2本。つまらない道が2本。怪しい脇道が1本。人生も五叉路みたいなもんだと思った。


子供の立場からすると引っ越し自体は簡単なものだった。手伝いをしようと思っても親には親のやり方があるらしかった。梱包の仕方が汚いだのなんだの。やる気と自信を0.01%失った。大人になる機会をまた一つ失いながらゲームを始めた。夏休みが開ければ新しい学校がはじまる。しかしそれは1ヶ月以上先の話だ。不安がないことはないが忘れていられる。慣れた家が空になるのはなんとなく寂しかった。もうここに戻って来ることもない。両親は明日の段取りの話をしていてこの家のことは頭にないようだった。忙しいようだし仕方ないのかもしれない。

新居に車で行く途中五叉路があった。また大通りを行くのかと思ったが左奥の細道に入るらしい。やめてほしかった。「あの道いくの?」サンデードライバーの父は無視した。大通りを走る車も前の車も歩行者もあの道は見ていなかった。俺たちだけがすーっと入っていく。


新居は広かった。ただ夕方西陽がやたら入ってくるのが気になった。数日して荷解きが終わった頃少し近所を探検することにした。大きな川があるらしかったので行くことにした。こんなにきれいなところがあるのか。幅の広い川がどこまでも続いている。俺の他に女の子が川沿いに立っていた。遊んでいる風ではなかった。その子のが急に何か汚らしいものを川に投げ捨てた。俺は地元の人間とはまだ言えない立場な気がしてはっきり文句を言えなかったが、非難の目で彼女を見ていた。彼女がこっちを振り返る。異様な表情だった。目と口が開ききっている。強い陽の光の中どす黒い彼女の顔から目が離せなかった。

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