3.おっさん武器を手に入れるそして冒険者ランクが上がる
3話目の投稿です
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異世界転移した俺こと麻野新はアルクスの町で冒険者になり、薬草採取したり魔物討伐したりしている。
冒険者になって1ヶ月位経ち、お金もだいぶ貯まった。
これでまともな武器が買える。
本当は安いのだと買えたんだが、その分性能が悪いらしいので、今まで我慢してた。
安いのだと50シルスからで高いのだと1000000シルスもするそうだ。
取り敢えず武器屋に行こう、こういうのは見てから決めたほうが良い。
その前にギルドに行って、何処の武器屋がいいのか聞かないとな。
ギルドに行くといつもなっている長蛇の列がなく、まばらに並んでいた。
俺も並ぼうとしたら声をかけられたので後ろを振り返り、入口の方を見てみるとミリアナさんがいた。
ミリアナさんが俺の方に近づく度に男性達の嫉妬の目が突き刺さり増えていく。
「麻野さんこんにちは、今日は遅いですね」
「ああ、実は今日は武器を見ようと思ってな、おすすめの武器屋を聞きに来たんだ」
「なるほど、それでしたらタンナ武具店がおすすめですよ?」
「タンナ武具店?」
「はい、そうです。そこなら色々は武具防具を扱っているので自分に合う武具防具が見つかると思いますよ?」
「なるほど」
「あとはですね、アサギマという凄腕の鍛冶師に打って貰うことですね」
「アサギマ?」
「はい、とても腕の良い鍛冶師なのですが気に入った相手でないと武器を打ってくれないそうなんです。たとえそれがランクが高かったり、剣の達人や貴族、王族の方々相手だろうと関係なくみたいなんです」
「頑固と言うか偏屈と言うか」
「一応、国王様が手出無用の事を言っていましたので大丈夫らしいですよ」
「そうなのか」
その後ミリアナさんに場所を聞いてギルド出ると、嫉妬の視線が無くなり、またいつも通りの賑わいが中から聞こえてきた。
一つ目の聞いた場所にたどり着き、中に入ると所狭しとあらゆる武器が置いてあり、その奥には防具などが置いてあった。
先ずは武器から見てみようと思い、武器が置いてある場所へと移動した。
並んでいる武器は様々で、短剣や片手剣、槍、斧、珍しいものだと鞭、ヌンチャク、チャクラムなんてのもある。
今まで使っていたのが短剣なのでそこらへんを中心に探そう。ジョブのレベルが10でMAXらしいからそこまで上げたら他の武器も扱ってみたいな。
短剣が並んでいる棚を見てみると、鉄の短剣からゲームや漫画、アニメなどに出てくるファンタジー特有の金属のミスリルやアダマンタイトなど様々な物がある。
と言ってもミスリルやアダマンタイトはともかくオリハルコンやヒヒイロカネはないのか聞いたら伝説級らしく、手に入れるにはダンジョンか遺跡などしかないそうだ。
一応国宝級らしく、大抵は国の宝物庫に保管されているそうだ。
「すまないが、聞きたいことがある。この中でおすすめの武器ってあるか?」
「そうですね……これなんてどうでしょう?これはミスリルで出来ているので軽い上に魔力を乗せると切れ味が増すのでおすすめですよ?少し持ってみますか?」
店員にミスリルの短剣を渡された。
持ってみるととても軽い。レンタルで借りた鉄の短剣よりも軽い、さすがファンタジー金属というべきか…
店員に許可を取り、軽く振るい、感触を確かめた。
ミスリルの短剣は軽い為か振りやすい。
何度か振り、この短剣にしようと思い値段を聞いたら、ミスリルの短剣が250000シルスと言われた。
一応500000シルスはあるので買えるのだが、ゲームなどだともっと高かったりしてたから、この世界のミスリルもゲームなどと同じで高いと思っていた。
店員にもっと高いのではと聞いたら、普通ならこの短剣位なら700000シルス〜1000000シルス位するそうなんだが、この短剣の製作者が自分が死んだら安く売る様に遺言を残していたそうだ。
製作者の名はゴルトナ・アーダマ、結構名の知れた鍛冶師らしい。
特に国に頼まれて打った剣はたった一本だけらしく、聖剣を仕方なく収めたそうだ。
それ以外は気に入った者しか打たなかったそうだ。
頑固な所はドワーフ特有らしくて、大半がそんな感じだ。
逆に柔軟な性格の持ち主はドワーフにとっては変人扱いだそうだ。ついでに、酒に強いのもゲームと同じみたいだ。
取り敢えず武器はミスリルの短剣で決まりで、次に防具の方を見るため、店員に案内をしてもらい、防具の棚を見てみると定番の革の防具から重装備のフルプレートアーマーなどがある。
防具は胸当てと手甲辺りを選んで、会計の所に持って行った。ちなみに両方とも革のタイプを選んだ。軽くて動きやすさ重視だからな。
これはベルトで止めるタイプで一人でも付けられる。
紐タイプは一人では付けづらく、他人につけてもらうことが多いらしい。
短剣のホルダーを忘れていたのでそれを棚から選んで会計を済まし、店を出た。
そんなに時間は経っておらず、簡単ですぐ終わるクエストを探そうとギルドに向かった。
クエストはいつも通りの薬草採取を選び、クエストが終わると宿屋に戻った。
次の日ギルドへ行き、クエストを見ながらどれにするか悩んでいた。
昨日買ったミスリルの短剣の感覚を実際に使って手に馴染ませて慣れないといけない。
スライムだと相手にならないから、それ以外の魔物が良いんだが…。
クエストの中にアルミラージと言うものがあった。
アルミラージと言えば、ゲームとかだと角が生えた兎のイメージがあるんだが、イメージと同じなのだろうか?
ギルドの二階へ行き魔物の図鑑でアルミラージの事を調べると載っている絵はイメージ通り、角を生やした兎だった。
特徴はとても素早く、自身の角で刺してくるみたいだ。だが慣れてしまえば比較的倒しやすいみたいだと図鑑の説明には載っている。
さっそくクエストを受注してもらい、森の入口まで歩いていった。
受注した時に受付嬢のラナさんからアルミラージの角と皮と肉は換金できますと言われたので忘れない様にしよう。
アルミラージの生息場所は森の入口の少し先になる。
森の中に入るとレッドスライムがこちら目掛けて体当たりしてきたので、いつもの要領で、かわしてから刺す事
にして倒した。
何回か繰り返しながら、さきに進むと、白い動く物が見えたので木の後ろに隠れて覗いて見れば、角が生えた兎がいた。
特徴が一致しているので、あれがアルミラージなのだろう。
今、何かを食べているのか、レッドスライム同様後ろを向いている。スライムの時はどちらが前か後ろか分からなかったが。
気配を消し、後ろからそーっと近づき、後頭部辺りにおもいっきり刺した。
先ずは一匹仕留め、二匹、三匹と仕留めいった。
クエスト目標討伐は十匹で、報酬は100000シルスだ。
一匹、10000シルスという計算になる。それに加えアルミラージの角や皮、肉なども換金すればプラスになる。
五匹仕留めたところでお昼になりいつもの弁当を食べて、午後から残りのアルミラージを討伐し始めた。
殆どは気配を消しての倒し方だが、何匹かには気づかれ、正面から対峙したが、一回脇腹を掠ったぐらいであとはなんとか避けられた。
終わってから収納魔法にしまい森の入口まで戻ったあと、飲水魔法で掠って血が出た所を洗い洗浄魔法で綺麗にした。
ギルド戻ったあとクエスト完了と報酬をもらい、ギルドの換金所に行き、換金する物をテーブルに置いた。
代わりに番号が書いてある札を渡されて、呼ばれるまで待っていろと言われた。
番号を呼ばれる頃にはもう夕方だった。
換金した肉や角、皮を合わせて160000シルスだった。宿屋に戻り、夕飯を食べたあとステータスを確認するとレベルが二つ位上がっていた。
今現在のステータスはこんな感じだ。
______________
麻野新:Lv26
体力:3400
魔力:1840
力:B
素早さ:D
丈夫さ:D+
器用さ:C−
運:B−
ジョブ
短剣士Lv7
スキル
言語翻訳、洗浄魔法Lv6、収納魔法Lv7、飲水魔法Lv5、気配遮断Lv4、魔力操作Lv3
称号
スライム殺し《スライムスレイヤー》
______________
あの1ヶ月で気配遮断と魔力操作がスキルに追加された。
そのおかげか、気配を消すのも、魔力を操作するのも楽になった。
あとは魔力操作をさらにレベルを上げて武器とかに纏わせる事ができるようにしたい。
参考は其のハンター達がいる漫画か、其の忍ばない忍がいる漫画だ。
確認が終わったあとは、そのまま眠りについた。
朝起きると何やら騒がしかったので、窓を開けて外を見てみると、人が集まっていた。
身支度を整え、宿屋から出ると何やら道の両端に並んで真ん中の道を開けていた。
近くの人に聞いてみた所、とあるAランクパーティーがオーガキングを仕留めて輸送中なんだそうだ。
一般人からしたらあまり見たことがないのでひと目見たさにこうして集まっているらしい。
遠くからガラガラと音がしてきたのでそちらの方を見てみると、2頭の馬が荷台を引いて、その近くにはさっき言ってたAランクパーティーが歩いていた。
荷台の上には、巨大な人型の魔物がいた。あれがオーガキングなのだろう。
大きさは大体三ルルス位か、こちらでは長さの事をルルスで一メートル=一ルルスだ。
そのまま目の前を通り過ぎ、ギルドの方に向かって行った。
「ドラゴンを退治したと聞いたときも驚いたが、こっちもドラゴンほどじゃないが驚いたな」
声をが聞こえたので振り返ると、宿屋の亭主であるモートンさんがいた。
「オーガキングってそんなに珍しいのか?」
「ああ、ここら辺じゃあ滅多に見ないな、と言うよりもオーガキング自体が珍しいからな」
「そうなのか」
「でも、オーガキングの肉はとても美味いぞ、あまり出回らないがな!」
「そうなのか、一度食べてみたいものだ」
「あれが市場に出れば手に入るんだがな、それでもし手に入ったら食わせてやるよ!ガハハハ!」
「ああ、その時はお願いするよ」
「おう!任せろ!」
「それじゃ、俺はギルドに行くんで」
「気を付けろよ!」
モートンさんに見送られながら、行列のできた人混みをかき分けて進んで行った。
ギルドにつくまでこの行列は続き、ギルドの中に入るのも一苦労だった。
ギルド内ではいつも通りの行列ができていて、それを避けながらクエストボードを見ていた。
ちなみに例のAランクパーティーはギルドで解体を頼んだらしく、そちらにいるみたいだ。さっき他の冒険者が話しているのを聞いた。
今度は何を受けようか、クエストボードを眺めていると、ギルドの受付に呼ばれ何事かと思い、聞きに行くと、俺のランク昇格試験の案内だった。
「お呼び止めして申し訳ありません、今回お呼びしたのは麻野新様のランク昇格試験のご案内についてです」
「ランク昇格試験?」
「はい、麻野様はEランクへの昇格規定に達しましたので、Eランクへの試験を受けていただき、合格しましたらEランクへと昇格します。」
「試験内容は?」
「試験内容は筆記試験と実技試験の2つです。その2つの合計点により、合否が決まります」
「試験日は?」
「6月21日の朝10時になります。持ち物はギルドカードと実技に使うご自身の武器防具など位ですので、その他の物はこちらでご用意させて頂きますのでご安心ください。」
「分かった」
「受付場所はここになりますのでくれぐれもお間違いのないようお願いします。それと、時間に遅れてしまった場合は特殊な理由がない限りは試験が受けられませんので、ご了承ください」
「特殊な理由とは?」
「例えばこの地を治められている領主様や王族の方々に呼ばれる事や緊急の依頼が入り受けられない場合ですね。まあ、前者はともかく後者の方はCランク以上の方達が大半ですからあまり気にしなくても大丈夫だと思いますよ?」
「そうか」
「ここまでで他にご質問等ございますか?」
「いや、取り敢えずはないな」
「分かりました。これで説明は以上になります、あとから質問等ございましたらお気軽にお声掛けください」
お礼を言ってから、クエストボードを見て、いつも通りの魔物討伐を選び、ギルドを後にした。
それから一週間がたち、ランク昇格試験の日になったのでギルドに行くと受付の所にランク昇格試験受付場所と看板らしき物が掲げられていたので、そこに並ぶと他の冒険者がこちらを見て笑っていた。
普段から笑われていたのであまり気にしていないが。
何で笑われているのかも大体見当がつく。
アラフォーなおっさんが今更ながら冒険者を始めているのかとかに思っているのだろう。漫画などではよくあるパターンだ。
自分の番がきたので受付を済まし、試験会場になる場所に行くのに案内板があったので、そちらに他の冒険者とぞろぞろ向かった。
会場内は約100人は入れそうな広さで前の方に教卓の様な机がありその後ろには黒板があった。
席は決まってなさそうなので、適当に前の方に座り、時間まで待った。
時間になると目の前に一人の女性が立っていた。
「時間になりましたので席に座ってください」
それでも静かにならず、席にも座らない者が大半を締めていた。
女性は下を向いて溜息を吐いて、またまえを向いた。
「さっさと座れってんだよ!さもなけりゃ失格にすんぞ!」
女性の大声で慌ててみんな席に座り、前を見ると女性が睨みをきかせ、回りを見渡すと納得したのか頷いてから、前を向いた。
「全く、せっかくお淑やかでいこうと思ったのによ」
「貴方にそれは無理」
「あ?」
「二人とも喧嘩しないでくださいよ〜」
「先に喧嘩ふっかけてきたのこいつだろ?」
「ふっかけてはいない、忠告しただけ」
「あぁ〜?」
「………」
「だから喧嘩しないでくださいってば〜」
あとから二人出てきて、口論になっていた。
暫く口論をしていたが、それが収まり、試験の説明をし始めた。
「初めまして、私達はCランクパーティー、茨の戦乙女のアルシラです。こちらの背の高い戦士の女性はローシラ、こちらの背の低い魔法使いがナシュマです」
「背が低いのは余計」
「まあ、そんなチビっ子じゃあ仕方ないって」
「デカすぎて、男に見向きもされない結婚逃しの歳増女」
「あぁ?!ちびすぎてそこらのガキと間違えられて男に相手もされないやつに言われたくないな!それに間違って衛兵に連れていかれたよな!親と逸れた迷子だと思われて」
「…………(怒)」
「はぁ〜、何でこんな時も喧嘩するんですかね」
何やら背の高い女性、ローシラさんと背の低い女性、ナシュマさんが言い争って、それをアルシラさんが止める形になっていた。あの人絶対に苦労人だ。
何やら言い終えたのか、改めてこちらを見渡してきた。
「こほん、少し時間が過ぎてしまいましたが、私達が試験官の担当になるのでよろしくお願いします。それでは問題用紙と解答用紙を配りますので」
そう言って次々と二つの用紙が配られた。
配られ終えると試験官は辺りを見回し、全員に配られたことを確認すると、始めの合図でみんないっせいに解答用紙を書き始めた。
筆記試験の制限時間は1時間で元の世界の学校のテストと同じ位の時間だ。
問題を見てみると薬草の見分け方や魔物を討伐する際のドロップ品や注意する点などといったものが出されていた。
解けるとこを解き、他を後回しにして、解答用紙を半分位うめたら、今度は後回しにした問題をじっくりと考えて、うめていった。
解答用紙が八割がたうまった所で時間になり、試験官から終了の声が聞こえた。
解答用紙は前に持っていき、試験官に渡すようだ。実技試験は午後からとなり12時まで早めの昼休憩となるみたいだ。
昼休憩は宿屋の食堂で食べてまた、ギルドの試験会場に戻った。
「え〜と、皆さん揃いましたね。それでは次は実技試験を行います。場所はこの一つ隣にある建物です。ではついてきてください」
試験官のあとを俺を含めた冒険者達がぞろぞろとついていき、試験官がドアを通った後に続いて行った。
中は広々していて、観客が座る為のものが設置されて、中心は平らな砂地が囲われている。まるで古代ローマの闘技場の縮小版みたいだ。
下に降りていき、そこに整列させられた。
「実技試験はこの場所で模擬戦をしてもらいます。呼ばれた方は前に来てそれ以外は観客席で待機していてください」
二人づつ呼ばれ、真ん中で冒険者同士が向かい合って、始めの合図で模擬戦を始めた。
丁度半分位終わったところで、自分が呼ばれて行ってみると相手はニヤニヤしながらこちらを見ていた。
明らかにこちらを舐めている態度なのは見て取れた。試験官も不快に思ったのか顔が一瞬歪んだがまた、元に戻った。
始めの合図で相手が突撃してきたので、それを避けるとヤクザキックで背中を蹴り、転ばすとすぐに立ち上がり、こちらを怒りの形相で睨んでいた。
こちらは普通に避けて蹴りを入れただけなのだが。
再度突撃してきたので、今度は避けずに振りかぶってきた剣を軽く受け止めながら力の方向を変え、受け流して、相手の腕を掴んでからそのまま一本背負いをして地面に叩きつけた。
相手は背中を叩きつけられて、一瞬動けなかった。
その空きを狙い、首に短剣を突きつけた。
試験官はそれまでと声をかけ、俺は観客席に戻っていったが相手はこちらを睨み続けていた。
だが、すぐに試験官になにか言われ観客席に戻っていった。
全ての人が終わり中心にまた集まり、試験官の言葉をまっていた。
「これで全ての試験が終わりです。試験の結果は各自に直接伝えられ、その場でギルドカードが更新されます。また結果は最低でも一週間はかかるのでそのつもりでいてください。それではこれで以上です。解散」
その合図で冒険者達はどんどん出ていき、俺もそれについていった。
それからは結果が出るまでは、いつも通りのクエストをこなし、結果が出たのはそれから二週間だった。
ランクはFからEになっており、これでEランクのクエストも受けれる様になった。
模擬戦で俺を睨んでいた奴が報復に来るかと思ったが、全然来なかったので、拍子抜けだった。
まあ、冒険者同士の私闘などは基本禁止だが、訓練場などでの模擬戦は、ギルドに申請して許可が出れば、模擬戦は行う事ができる。
まだまだ狭い冒険ライフだが、結構充実している。
受けれるクエストが増えたからさらなる冒険ライフが味わえるな。どんな冒険が待っているのだろう。
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