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おっさんの異世界のんびり冒険ライフ  作者: 時雨暁
第一章 シチリンド王国
1/19

1.おっさん異世界に立つ

初めての作品投稿なのでよろしくおねがいします。

 

「ここはどこだ?」


 辺りを見渡すと森の中にいた。


 俺の名は麻野新あさのしんどこにでもいる普通の会社員だ。

 何時ものように会社へ行き、何時ものように自宅へ帰る。何も変化もない平凡な日々を過ごしている。

 ある日何時ものように自宅に帰宅し、夕飯を食べて、ベッドでそのまま眠りについた。

 疲れが溜まっていたのか、すぐに意識を手放し、深い眠りについた。


「う〜ん、身体が痛い」


 ゆっくり目を開けると真上には天井は無く、青空が見えていた。

 段々と意識がはっきりとしていき、上半身を起こし、辺りを見回すと、木々が生い茂ってる森の中にいた。


「ここはどこだ?」


 立ち上がり、もう一度辺りを見回す。


(俺はベッドで寝たはずなんだが‥‥·寝ぼけたか?)


 夢にしてはあまりにもリアルでここが夢では無いような感覚に襲われた。


「とにかく、今の現状をなんとかしないと始まらないな。とりあえずの目標はこの森を抜ける事か‥‥」


 自分の服装などがいつの間にか私服になっていて靴も履いているのも気にしないことにして、歩き始めた。

 歩けど歩けど、森から抜けられず、日が傾き始めた頃にようやく道らしき場所に出た。


「ようやく抜けたか…」

「さすがに40近くのおっさんにはきついな」


 一人で口にしながら左右を見た。

 右を見ても長い道、左を見ても長い道で何時になったら人の居る場所につくことやら…。

 そう溜息を付きながら座り込み、赤い空眺めながら「そういえば、飯食ってないな」とお腹を押えながらグゥ〜っと鳴らした。

 食べるものもなく、最悪そこら辺に生えているキノコやら草やらを食べるしかないかと思いながら我慢していると、右の道から音が聞こえ、そちらを見ると馬に引かれた荷車、所謂馬車が来ていた。

 段々と近づい来て、目の前に来ると、止まって「どうしたんだい」と声を掛けてきた。


「ああ、道に迷ってな、この森を突っ切って近道しようとしたら方角が分からなくなってな」


 とりあえず、異世界転生物のテンプレ的な答えで返した。


「無茶な事するもんだね。普通はやらないよそんな事、でも、運がいいねあんた。最近この辺り魔物が出はじめて、時々冒険者が狩りに入るんだよ」


 魔物がいるのか、と言う事は俺は所謂異世界転移をしたということだな。テンプレよろしく神にもあっていないから、神様特典とやらも貰ってない。本当に運が良かったようだ。


「近くに町があるから乗ってくかい?」

「頼む、あと食べ物ないか? 腹が減ってな…」

「それなら、これがあるよ」


 箱から取り出したのは青い林檎のような果実で、とても甘い匂いがした。

 それを受け取り、恐る恐る口にすると、匂いと同じで口いっぱいに広がり、果汁が喉を潤した。

 その果実をいくつか貰い、腹が膨れると、御者席に座っている男に、「後に乗りな」と言われ、荷台乗り座ると、馬車を動かし始めた。

 少しして、男は振り返り名前を聞いてきたので麻野新と答えると、聞いたことの無い名前だなと返してきた。

 聞いたこと無いのは当たり前だろう。見た感じ、馬車を使うことから、俺の居た世界の中世のヨーロッパ位の時代なのだろう。


「ここから3日行った所にアルクスっていう町があって、お前さんがさっき食べたアルプを使った料理で盛んだな、一度は食べてみるといいよ」

「そんなに美味いのか?」

「ああ、美味いよ。俺はアルプのパイが大好きでね、アルクスに行くといつも食べるんだ」


 他にもアルプ酒やアルプを使ったソース、アルプジャム、アルプ焼き等など、数多くのアルプ料理が沢山あるそうだ。

 今から楽しみと同時に、この世界の事も知らなければならない。


「そういえば、あんたどこから来たんだい?」

「分からん、気付いたら森の中にいた」

「転移魔法か何かかね?、冒険者からそんな罠があったりするってのは聞いたことがあるが…」

「そうなのか?」

「ああ、この前乗せた冒険者が言っていたのさ。それで森の外に飛ばされたとかなんとか。」


 なるほど、この世界には魔法があるのか。

 もし、覚える事かできれば、この先てかで役に立つかも知れないしな。

 それから、他愛無い話をしながらこの世界の事を聞いた。

 この世界の名はアンバウズと言う、他の国だとアンスリト、ガルラカシア等など国によって呼び方違うらしい。

 どの名前でも、通じるらしいので問題ないらしい。

 今いる国はシチリンド王国、それも南部らしく、この道はアルクスとミンタナと言う町の間で、比較的安全な道だそうだ。

 魔物も出たとしてもスライム位で、子供でも簡単に倒せるとか。

 ステータスやスキル、レベルの概念もあり、こちらで言う仮想現実のゲームみたいだ。

 ステータスは、見たいと思いながらステータスと唱えると見えるようだ。


「ステータス、お、出たな」


 目の前にステータスの画面が出てきて自分のステータスか表示された。

 ちなみに麻野新のステータスはこうなっている


 ______________

 麻野新:Lv1

 体力:750

 魔力:300


 力:D+

 素早さ:F

 丈夫さ:E

 器用さ:D−

 運:B


 ジョブ


 スキル

 言語翻訳


 称号


 ______________


 言葉が日本語で聞こえるのはスキルにある言語翻訳だろう。

 ジョブと言うのはゲームで言うところの職業か?、称号に関しては分からん。ここらへんは聞くに限るな。


「なあ、このジョブと称号ってのはなんだ?」

「知らないのかい?まあ、ステータスを知らなかったんだから、知らないのは無理ないかな。ジョブっていうのは、所謂職業だね。例えば、剣士とか魔法使いとか、変わり種だと遊び人とか王族なんてのもあるね。」

「称号の方はそのままだね。例えば竜を倒したら竜殺し《ドラゴンスレイヤー》の称号を得るね。他にもダンジョンを突破したら○○ダンジョン突破とかつくし、色々だよ」


 なるほど、ジョブと称号はそういう意味なのか。

 他にもジョブにはレベルあり上がれば上手くなるし、その職業の技のスキルも覚えるとか。でも、絶対に覚える訳でも無いらしい。

 ジョブも称号も時折、進化したりするらしい、剣士なら下級剣士みたいな感じらしい。

 剣士なりたいなら剣を使えばいい、魔法使いになりたいなら魔導書を読んで覚えればいい、商人なら物など売り買い等すればいいっと言うような感じで成るんだそうだ。

 ついでに遊び人は賭け事でなれるそうだ。

 あら方聞きたいことも聞けたので、あとは、予備知識程度に覚えればいいだろう。


 日が落ち、辺りが暗くなると、馬車を止め野営の準備をして、夕食の準備に取り掛かった。と言っても、サバイバル初心者である新は見てるだけで、もう一人の方に任せきりだった。

 一応手伝う事はないか聞いたが、男は笑って「大丈夫だからそこで待っててくれ」と言って、テキパキと準備をした。

 夕食の献立は鍋の中に入っているクズ野菜と戻した干し肉のスープに黒パン、アニメやゲームなどで出てくる様な夕食だった。

 ある意味楽しみであったが、いざ食べてみるとスープは薄すぎて美味しくなく、黒パンも固くてスープにつけなければ食べられたものではなかった。

 予想通りとゆうか、なんとゆうか、実際見るのと体験するのは違うと言うが、正にその通りだ。


「どうだい?夕食の御味は?」

「はっきり言って美味くないな」

「そうだろう、野営は大抵こんな感じさ。見た所、君はこの食事も初めてなんだろう?貧しい村だと大抵がこうゆう食事になるんだけど、君は服装を見ても裕福そうだしね。まあ、無闇に詮索はしないさ」


 食事を再開し、食べながらふと空を見ると、夜空には星々が輝いていた。

 地球にいたときは、星なんて見ないで、会社の行き帰りだけで考えもしなかった。それが当たり前になってたし、見たとしても今見てるよりも星の数も少ない。空気が汚れているかららしいが詳しくは知らん。

 向こうでも田舎の方が良く見えると言われてるぐらいだしな。


「さて、そろそろ寝ようかね、君は馬車で寝るといいよ。僕は御者席で寝るから。あとこれ、毛布だから」

「わかった、有り難く使わせてもらう。所でさっき設置してたのはなんだ?」

「ああ、これかい?これは魔物避けの魔導具だよ」


 持ち上げて見せてくれた。

 それをそのまま少し広く四隅に置いて、また戻っきた。

 さっきの魔導具を四隅に置くことで、置いた内側の面積内には入らないそうだ。ただ、ドラゴンなどの強い魔物には意味が無いらしいが。

 馬車で横になるとすぐに睡魔襲ってきた。


「今日は色々あったな、いや有り過ぎたが…」


 異世界転移、ステータス、魔物、魔法と今までに無い事ばかりだったが、疲れてすぐに眠ってしまった。

 次の朝、身体のあちこちが痛むが動けない程ではないので、起き上がり外を見てみると太陽が昇っていて大体の位置で6時〜7時位なのが分かる。

 御者席の方を見ると既に居なく、しばらくぼーっとして待っていると、木の枝を持った男が現れた。


「やあ、起きたのかい、待っていてくれすぐに朝食作るから」


 男はナイフで木の枝を削り、火打ち石でカチッ、カチッと音を鳴らして木屑に火種当てていた。

 やがて煙が出て、それを木の枝に移すと、いきを吹きかけて、火を大きくした。

 朝食の献立も昨日と同じクズ野菜と干し肉、黒パンの朝食だった、それに追加されてアルプが半分出てきた。

 それらを食べ終わると、二人はそれぞれ、昨日乗っていた位置に座り、馬車を出した。

 しばらく外の景色を眺めていたが、ふと思い出した事があり、男に昨日と朝に木の食器を一瞬で綺麗にしていたのは魔法なのか聞いてみた。


「あれは生活魔法と呼ばれるとのだよ。その一つの洗浄魔法って言う魔法だよ。ただ、生活魔法は冒険者が覚えない人多いんだよね。大半は攻撃に使える魔法ばっか覚えるから」

「やはり派手で魔物を倒せる方が格好良いとか思っているからか?」

「そうだね。だけど逆に村人や行商人なんかは覚えている人は多いよ」

「そうなのか」


 やはり冒険者にとって二の次なのだろう。逆に商人たちは護衛を雇うから覚えたと言う事か。


「良かったらでいいんだが、俺にもその魔法を教えてくれないか?」

「それは構わないけど…、僕が教えられるのはさっきの生活魔法位だよ?」

「構わない、それに生活魔法は便利だから覚えていて損はない」


「わかったよ」と言って簡単に説明された。

 まず、魔力を感じる所からで、これは少し苦労したがなんとかできた。次に、生活魔法の洗浄を教えてもらい、これも覚えた。

 他にも、飲み水を出す飲水魔法、物を収納する収納魔法などを教えてもらい、こちらもおぼえた。

 唯、収納魔法は大量に収納出来る訳でも無いらしく、その上刃物などは入らないそうだ。

 だが。熟練度を上げれば刃物なども入るらしい。「剣を入れてる所見た事あるけど、少なくとも僕には出来ない」だそうだ。

 生活魔法はとても便利だと思うのだが、魔物の返り血や採取等の汚れは洗浄魔法で綺麗に出来るし、飲水魔法で川などを探さなくとも水の確保もできるし、収納魔法も、お金等の貴重品も仕舞えるし、採取した素材なども仕舞えるから手持ちない上盗まれ難い、いくら派手で魔物を倒せるからと言って、攻撃一辺倒だとあとが大変だと思う。

 覚えて使える様になったので、ステータスに反映されてるか確認すると反映されていた。

 ちなみに今のステータスはこうなっている


 ______________


 麻野新:Lv1

 体力:750

 魔力:300


 力:D+

 素早さ:F

 丈夫さ:E

 器用さ:D−

 運:B


 ジョブ


 スキル

 言語翻訳、洗浄魔法Lv1、収納魔法Lv1、飲水魔法Lv1


 称号




 ______________


 スキルの所に追加された。

 こうなってくるとスキルだけじゃなく称号やジョブも欲しくなるな。とりあえずジョブからだな。

 しかし、生活魔法とはいえ魔法なのだから魔法使いのジョブが得られても可笑しくないと思うのだが。

 男に聞いたところによると、生活魔法では魔法使いのジョブは手に入らないそうだ。

 何でかは知らないそうだ。知ってるとしたらこの世界を創った神様位らしい。

 聖女のジョブ持って人の中で大聖女に進化した人は啓示と言う、神の言葉が聞けるそうだ。

 この世界の神は全部で6人いる。


 人族の神 スフィエル


 獣族の神 ミルフィアード


 魔族の神 ゼノン


 エルフ族の神 アルストラ


 ドワーフ族の神 イラガラス


 天族の神 アートリシア


 この6人の神がこの世界を創り、それぞの種族を創ったとされているらしい。 

 ちなみに、妖精族や精霊族、魚族などもいるが、妖精族はエルフ族の神 アルストラ、精霊族は天族の神 アートリシア、魚族は獣族の神 ミルフィアードを信仰しているそうだ。

 種族別で信仰はされているが、教会では平等に6人の神を祀っているそうだ。その為、どの国に行っても自分の種族の神を祈る事ができるそうだ。


 時間も昼を少し過ぎたあたりでいったん馬車を止め、近くにある小川で昼食を取ることになった。

 小川には魚もいて水も透き通る位きれいだった。

 俺が住んでた国は大半の川は排水から出る汚染で汚い、綺麗なところは山など位だろう。

 科学技術が進んだ弊害だろう。だが、こちらは中世位の時代なためなのか、魔導具ができたからなのか、魔法無しの技術が遅れている。

 その為、技術を進歩する為に自然破壊などはしてないようだ。

 そんな事思っていると、男が釣り竿を二本持ってきて一本を渡してくれた。

 なぜ、二本もあるのかも分からないが、釣り竿を受け取り小川へと垂らした。釣り餌などは既についていたので、そのまま垂らしてかかるのを待つだけだ。

 昼食は昨日と同じもとに釣った魚を焼くそうだ。

 二人は釣り竿を持ちながら静かに小川を見つめた。

 男の釣り糸が微かに動き、その後一気に引っ張られた。

 男はすぐさま立ち上がり、竿を持って行かれない様抑えながら、一気に引っ張り上げた。


「お、レッドフィッシュが釣れたね」

「レッドフィッシュ?」

「この魚の事だよ。赤い魚だからレッドフィッシュッテ付けたらしいよ」

「そのまんまだな、ん?…俺の方もきたな」


 新の釣り竿も引っ張られたので男と同じ様に釣り上げた。

 釣れた魚は虹色で太陽の光でとても輝いていた。


「お、レインボーフィッシュを釣ったのか。運がいいね、滅多にお目にかかれない魚だよ」


「とっても美味しいし、珍味なんだよ」と男は行ってまた糸を垂らした。

 それぞれ2、3匹釣ったら食べる分以外は収納魔法で収納して、魚を串に刺して、何時ものように火を起こし、焼き始めた。

 焼き魚独特の匂いがし始め、頃合いの所に串魚に塩振り、一本取りそれを取り新に渡した。

 新は受け取ったあとかぶりつき、咀嚼したあと飲み込んで、魚を見つめた。


「言葉が出ないだろう、レインボーフィッシュを初めて食べた奴はみんな最初はそうなるのさ」

「確かに、言葉が出なかった。それほどに美味い」

「僕も最初そうだったからね、あのときは知り合いが結婚したんで、その時の料理に出たんだ。

 高級食材だからね、一匹で10000シルス位するからね」


 なるほど、シルスと言うのがこの世界のお金の単位か。

 お金の話しを聞いたら、大体100円=1シルスみたいだ。

 使われているのも金貨、銀貨、銅貨、鉄貨の硬貨みたいだしな。一応金貨の上の白金貨って言うのもあるらしいが見たことないそうだ。


 小鉄貨1枚=1シルス=100円


 大鉄貨1枚=10シルス=1000円


 小銅貨1枚=100シルス=10000円


 大銅貨1枚=1000シルス=100000円


 銀貨1枚=10000シルス=1000000円


 金貨1枚=100000シルス=10000000円


 白金貨1枚=1000000シルス=100000000円


 この様になっている。

 シルス=昔のお金と考えた方が良さそうな気がしてきた。

 まあ、慣れるまで時間が掛かりそうだが。

 そうこうしてるうちに食べ終わると馬車に乗り進み出した。

 馬車に乗っていてもスマホや本がある訳でも無いから、暇を持て余していた。

 暇なので、自分に出来るしことないか考え、魔法を使うとき、魔力を使うなら魔力そのものを扱えないかと思い、座禅を組んでめを瞑り、魔力そのものを感じとろうと集中した。

 漫画とかだと魔力操作とか魔力を武器の形にして使うとか、漫画などの魔法を再現できるのではないか。そう思うと余計にワクワクし、集中力も増していた。

 やはり、男にとって漫画などの技や魔法の再現はロマンだよな。

 体内の魔力は、生活魔法を使った時に感じた場所を探し、お腹辺りからくる暖かい物、これが魔力なのだろう。

 感じた魔力を手に移動させるイメージでやってみるが、なかなか上手くいかず、お腹あたりに魔力が留まっている。


「やはり、最初から上手くいくわけ無いか…、主人公じゃあるまいし」


 練習あるのみと没頭し続け、気が付けばもう夕方になっていた。

 魔力の操作はできなかったが魔力を感じるのが最初比べて分かる様になった。

 馬車を止め、いつも通り野営の準備をし、夕飯を用意した。今回は、野営の準備を手伝い、と言っても木の皿や鍋の用意などの簡単なことだけだが。

 夕飯が出来上がり、食べながら男はふと思った事を聞いてきた。


「そういえば、後で目を瞑って座っていたけど何かしてたのかい?」

「魔力を直接操れないかと思ってな」

「魔力を直接ねぇ…」


 食べる手を止め、考えごとをし始め、すぐに新の方を見てから、「魔力を武器にする冒険者なら見た事あるよ」と男は新に話し始めた。

 なんでも、その冒険者は護衛の依頼として来てくれた冒険者パーティーで、そのうちの一人の女の冒険者が護衛中にゴブリンを杖倒したそうだ。その時、杖の先に魔力を槍状にして刺したりしてたそうだ。

 最初は混乱して分からなかったらしいが、あとから聞いたら、魔力を操作して刃先にしていたそうだ。

 その冒険者パーティーは王都に行くと言って、依頼を達成したあと何日か町に留まり、乗り合い馬車で王都向かったそうだ。


「だから、魔力を操作するのはできると思うんだよ」

「なるほど、話してくれてありがとう」

「いやいや、あまり参考にはならなかっただろ」

「そんな事ないさ。もしそれが無いのを知らずにやっていたら努力の無駄になる。有ると分かっただけでも良かったよ」

「それなら良いんだけど」


 二人また食事を再開した。

 食べ終わり、馬車で横になると目を瞑って、昼からやっていた魔力の感じとる事を少し行い、夕方よりも少しだけ感じとりやすくなり、頭の中でもモヤモヤとしたものが薄っすらと見えてきた。


(なるほどこれが魔力そのものなのか)


 見えてきたモヤモヤしたものが魔力だと感じとり、意識をそちら向けるとよりはっきり見えてきた。

 青色の気体のようなものが炎の様にゆらゆらとゆらめいでいた。

 それを手に移動させるイメージをすると、目の前に青色の魔力が手に移動してきていた。

 目を開けると手には青色したモヤモヤ―――魔力を纏っていた。

 今度は全体を包み込む様にするとその通りになった。

 何度か行ったあと眠りについた。

 次の朝、二人は朝食を取り、出発した。

 昨日と同じ様に魔力を操作する訓練をする為、座禅を組んで目を瞑り、集中した。

 魔力を手に移動させるイメージを明確にし、目を開けるとてに魔力を纏っていた。

 今度は目を開けたままイメージをして、手に移動させ纏わせていく。目を瞑って集中するのよりは遅いが確かに手に魔力が移動した。

 これをスムーズに行く様に何度も繰り返し行っていった。


「町が見えてきたよ」


 男に言われ、馬車の荷台から顔を出すと壁に囲まれた大きな町が見えてきた。


「あれがアルプ料理で有名な町アルクスさ」


 新はワクワクしながら見える町を眺めた。







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