3-3
◆ドライ近くの廃村
休憩を挟んだ私は再びレベル上げのために廃村で戦闘を行っていました。
休憩前と同じく作業のような戦闘をこなして遂に待ちに待ったレベルアップの通知を受けたときやり遂げた思いでいっぱいでした。
「種族レベルも職業レベルもMAXになっているね。」
私はそれを声に出して確認しました。
それを見ると達成感から胸の内に喜びが湧き上がってきます。
私は急ぎ安全な教会へと戻ります。
「さて、さっそく進化です。」
私は喜び勇んでステータスに表示された進化のボタンを押します。
<進化先の拡張を確認。>
<以下の選択肢から進化先を選択してください。>
1.ラージスライム
2.ショゴス
どうやら進化先は2つの選択肢があるようです。
ラージスライムとショゴスですか。
何となく鉱山の瓶詰の脳みそからそんな気はしていたのですがクトゥルフ神話の要素があるのですね。
私はその進化先の詳細を確認しようとウィンドウを操作しました。
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ラージスライム
大型のスライム。
ビッグスライムがさらに大型化した姿。
その姿が示す通りビッグスライム以上のステータスを誇る。
さらに物理、魔法に対して高い耐性を持つようになる。
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ショゴス
玉虫色の粘性生物。
その体は黒みを帯びた玉虫色をしており粘性の高い不定形をなす。
ビッグスライム以上の巨体を誇り、その姿は見るものに恐怖を抱かせる。
古くは知性ありし者たちの奴隷として使役されていたがショゴス自身が知性を持ったことでそれに反逆を起こした。
今では使役していた知性ありし者たちからも恐れられる存在となった。
ステータスは極めて高い。
また、物理、魔法に対して非常に高い耐性を持つようになる。
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予想通りと言いますか、ショゴスとはとんでもなく強力な種族のようですね。
それ以上に危険な種族とも見て取れます。
単純にステータスを比較するならショゴス1択なのでしょうけど、これは迷いますね。
いえ、魔物系の種族である以上今さらなのかもしれません。
進化して行けば同じように人にとって危険に生物になっていくことでしょう。
それが早いか遅いかの違いです。
私はそう決心すると進化先でショゴスを選択しました。
直後、辺りを眩い光が包み込みます。
光りは次第に弱まり完全に収まるとそこには玉虫色の粘性生物となった私が立っていました。
<種族「ショゴス」への進化………完了。>
<称号「下級の奉仕種族」を取得。>
<称号「玉虫色の悪臭」を取得。>
<称号「神話生物」を取得。>
………
<スキル【狂気を呼び起こすもの】を取得。>
<スキル【物理ダメージ半減】を取得。>
<スキル【魔法ダメージ半減】を取得。>
<スキル【HP自動回復】を取得。>
<スキル【形状変化】を取得。>
………
<スキル【縮小化】はスキル【形状変化】に統合されます。>
………
<称号「最も恐ろしきもの」の弱体化が解除されました。>
<スキル【恐怖を呼び起こすもの】の弱体化が解除されました。>
そしてビッグスライムに進化した時以上のシステムメッセージが目の前に表示されました。
ちょっと一気に表示されても理解が追い付かないのだけれど………。
私はそんな思いを持ちながらそれらシステムメッセージに目を通していきました。
まずは………称号からいきましょうか。
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称号「下級の奉仕種族」
自分より上位の知識あるものに奉仕するために生み出された存在。
目的を持って生み出されたこの種族はその目的を達成するためにあらゆる手段を有する。
下級だからと侮るなかれ。
彼らの多くは人知の及ばぬ力を持って生み出されている。
当然その力は今を生きる人々にとっては驚異であろう。
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称号「玉虫色の悪臭」
この世で最も恐ろしき生物の1つ。
彼らを見て恐怖を抱かぬものはいない。
恐ろしさから目を背けることを咎める人はいないだろう。
なぜなら彼らこそが恐怖なのだから。
効果1:状態異常「恐怖」「狂気」の成功率上昇
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称号「神話生物」
古い神話の時代に生きた生物。
今は無き神々の時代を生きた種族はどれ1つとっても常識の通じるものではない。
彼らは我々の知識と正気の外側に存在するのだ。
彼らのことを知ってはならない。
何故なら彼らを知るということは今世で培われた知識と正気を否定することになるのだから。
効果1:全ステータス上昇
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下級の奉仕種族は同族殺し同様に明示された効果のない称号ですね。
こちらはとりあえず置いておきましょう。
続いて玉虫色の悪臭は状態異常の成功率を上昇させる効果ですか。
この恐怖と狂気と言う状態異常を知らないので何とも言えませんが弱くはないのでしょう。
そう信じたいです。
最後に神話生物。
これの効果は単純でわかりやすいですね。
どの程度上昇するのかはわかりませんが純粋に強いです。
今の戦闘スタイルを考えても腐ることは無いでしょう。
さて、次はスキルのほうを確認していきましょうか。
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パッシブスキル【狂気を呼び起こすもの】
この生物を見て恐怖を感じたときそれは度し難い狂気へと至ることだろう。
狂気は正常な判断を行えなくさせる。
それに取り憑かれたものにとって常識も良識も意味をなさなくなる。
狂気から逃げる行動を否定しない。
狂気から目を背ける行動を否定しない。
なぜならそれは生物にとって当たり前の行動だからだ。
効果1:敵対者に状態異常「狂気」を与える
効果2:敵対者の状態異常「狂気」の効果上昇
効果3:「狂気」状態の者への攻撃する場合ダメージ増加
効果4:「狂気」状態の者から攻撃を受けた場合ダメージ減少
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パッシブスキル【物理ダメージ半減】
この生物を物理的に傷つけることは難しいだろう。
なぜならこの生物にとって傷とは意味がないからだ。
傷を負っても生命活動に異常をきたすことはない。
本当にこの生物は生きていると言えるのだろうか?
その疑問に答えを得るより先に敵対者は死を迎えることだろう。
効果1:物理攻撃のダメージを半減する
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パッシブスキル【魔法ダメージ半減】
この生物を魔法的に傷つけることは難しいだろう。
なぜならこの生物にとって傷とは意味がないからだ。
傷を負っても生命活動に異常をきたすことはない。
本当にこの生物は生きていると言えるのだろうか?
その疑問に答えを得るより先に敵対者は死を迎えることだろう。
効果1:魔法攻撃のダメージを半減する
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パッシブスキル【HP自動回復】
傷ついた体は自然と言えるだろう。
しかし、この生物の回復速度は異常だ。
常識の埒外ともいうべき現象がその生物の体では起きていた。
傷ついた体は瞬く間に回復し敵対者に絶望を与えるだろう。
効果1:HPの自動回復速度を上昇させる
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アクティブスキル【形状変化】
不定形の生物にとって形とは意味をなさない。
特にこの生物にとってはなおさらだ。
彼らはその肉体を使って様々な器官を生み出す。
その変幻自在な様は生物として正しいのだろうか?
効果1:肉体を任意の大きさに変化することが可能(上限あり)
効果2:肉体を任意の形に変化することが可能
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【物理ダメージ半減】、【魔法ダメージ半減】、【HP自動回復】については見たままですね。
これらは置いておいていいでしょう。
次に【形状変化】については元の【縮小化】が強化されているようですね。
【縮小化】の時は小さくなるしかできませんでしたが上限はあるものの巨大化することもできる様です。
何より、任意の形に変化できるというのがすごいですね。
少しコツはいるようですが人間の腕とか足の形をとることもできるでしょう。
余り意味はないので今はしませんが………。
しかし、こちらも複雑すぎるものはできそうにありませんね。
人間で言うと各器官は模倣することができそうですが人間自体になるのは難しそうです。
後は………【狂気を呼び起こすもの】ですね。
これは【恐怖を呼び起こすもの】の状態異常「狂気」バージョンと言った感じです。
この状態異常が何か分からないと強いのかどうかはわかりませんが字面から危険な香りがします。
さて、最後に弱体化が解除された称号とスキルを見ていきましょう。
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称号「最も恐ろしきもの」
この世に存在する生物の中で最も恐ろしきものに送られる称号。
その生物は本来存在したことは1度としてないはずだった。
その生物は本来酷い悪夢の中でしか存在することはできないはずだった。
しかし、生み出されてしまった。
この生物を前にして恐怖を覚えないものはいない。
この生物を前にして目を背けずにいられるものはいない。
効果1:状態異常スキルの効果上昇
効果2:敵対者の状態異常に対する抵抗弱体化
効果3:状態異常に対する抵抗上昇
効果4:状態異常「恐怖」「狂気」の無効化
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パッシブスキル【恐怖を呼び起こすもの】
この生物を見て恐怖を感じないものはいないだろう。
その恐怖は体を蝕む。
あるものは泣き叫びし、あるものは萎縮し、あるものは自ら命を絶とうとするだろう。
再度伝えよう。
この生物を見て恐怖を感じないものはいないだろう。
努々忘れることなかれ、恐怖とは抗いがたいものなのだ。
効果1:敵対者に状態異常「恐怖」を与える
効果2:敵対者の状態異常「恐怖」の効果上昇
効果3:「恐怖」状態の者への攻撃する場合ダメージ増加
効果4:「恐怖」状態の者から攻撃を受けた場合ダメージ減少
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称号の最も恐ろしきものは敵の状態異常に対する能力が追加されていますね。
私が状態異常を受ける確率がこれで下がったということでしょう。
特に「恐怖」と「狂気」に関しては全くかからなくなりましたね。
【恐怖を呼び起こすもの】は【狂気を呼び起こすもの】と同じような効果が追加されましたね。
もしも状態異常で「恐怖」と「狂気」が重複するのであればこの場合にこれらの効果の増加、減少分はどうなるのでしょうか?
そのうち検証したほうがいいかもしれませんね。
私はそんなことを考えつつ続けて職業の転職を行っていくのでした。
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