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8-19 とある運営のお話7


◆リースリング・オンライン運営会社


>>Side:とあるゲーム開発者


「シナリオは予定通りに進行しているな?」


「ああ、帝国が戦争を起こし王国がそれに答える形となった。予定と違うところを上げるとするならばアルカディアとの戦争で疲弊していた王国が負けたことぐらいかな。」


「それくらいは許容範囲内だろ?」


「そうだな。元々勝っても負けても問題ないように準備していたからな。」


運営本部で同僚と会話を続けながら私は画面を注視していた。

同僚の言う通りこの戦争の結果は大きな問題ではない。

重要なのはここで王国以外の国があるということがプレイヤーに周知されることだ。


「これで次の段階に移れるな。」


「ああ、プレイヤーが王国以外の国に目を向けることになる。」


リースリングの世界には大きく分けて3つの国がある。

アルベルツ王国、フォルシウス帝国、エルメルト連邦国だ。

サービス開始の初期段階ではアルベルツ王国だけだがこの戦争を機にこの3国が周知される運びとなっていた。


「さて、じゃあアップデート作業を進めるか。」


「そうだな。アップデートの予告とTipsの更新はすでに終わっているのか?」


「そっちは終戦と同時に行っているよ。」


「なら、まずはアップデート内容の確認作業から始めるか。」


「へいへい。」


今回のアップデートで行われるのは2点。

ワールドマップの拡張とキャラクター作成時に初期所属国家の選択追加だ。

初期所属国家をフォルシウス帝国、エルメルト連邦国とした場合はそれぞれの国の初期町から開始することになる。

当然その町はアルベルツ王国のアインと同じような特徴のない町だ。

そこから数々の冒険を始めることになる。


しかし、このアップデートだけでは新規プレイヤーのみが新しい国家に所属する形となってしまう。

既存の熟練プレイヤーが帝国、連邦国に辿り着けていない現状ではそれぞれの国のプレイヤー人口が偏ってしまうことになる。

そこで、1週間の期間限定ではあるが特殊亡命クエストを用意する。

このクエストを受けることで既存プレイヤーも帝国、連邦国に行けるようにする。


「当初の予定では王国と帝国の戦争が始まる頃にはプレイヤーが帝国に行けるようになっているはずだったんだよな………。」


誰に語り掛けるでもなく私はそう呟いた。


「そうだな。ゼクスが占領された影響で攻略が遅れて予定通りにはならなかったな。」


そんな私の独り言に同僚が返事を返してくれた。


「これもそれもあの技術主任のせいか………。」


「だけとも言えないけどな。さすがに魔物排斥の機運が行き過ぎていたとは思うがそれでも独立までしたのはプレイヤーの選択だ。」


「独立からの資材の独占が痛いな。」


「いっそのことアルカディアが王国全土を飲み込んで攻略を勧めてくれた方が良いかもしれないぞ。」


「止めろよ。そうなったら初期所属国家の選択肢を増やすことになる。また、調整作業が発生することになるぞ。」


「そうだな。見る分には楽しそうだが作業が増えるのは嫌だな。」


一応そのプランも見当はされている。

プレイヤーが立国した国が大きくなった場合にその国をスタート地点として認めることもあるだろう。

しかし、それはまだ先の話だ。

今すぐにと言うわけではない。

………と信じている。


「ああ、予定通りなら特殊亡命クエストなんていらなかったんだが………。」


「言っても仕方ないだろ。それより手を動かせよ。」


「分かっているって。」


そう言いながら私は作業に戻るのだった。


>>Side:とあるゲーム開発者 End


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