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◆アイン近くの草原


「あ、レベルが上がりました。」


新しく届いたシステムメッセージを確認して不意に私はそう呟きました。


「「え?」」


私のその発言に驚いたのかカガリさんとユキさんはそんな言葉を漏らします。

そしてすぐさま彼女たちもメッセージを確認します。


「あ、こっちも上がった。」


「私も上がっています。しかも4つも上がりました。」


そうなのです。

私自身も種族レベル8、職業レベル8だったのが今は両方ともレベル10となっていました。

それだけ今襲撃してきた彼らのレベルが高かったのでしょう。

そのレベル差があったからこそ、これだけレベルが上がったのだと思います。


「色々と気になることはありますが、まずは町に戻りましょう。」


私のその言葉にカガリさんたちは同意します。

皆ウィンドウを閉じると再びアイン目指して歩き始めました。


--


程なくして私たちはアインに着きました。


「ついたー。長く苦しい戦いだったね。」


「お疲れ様。」


「はい、お疲れ様です。」


三者三様にそう口にします。

2人の声からは嬉しそうな雰囲気が伝わってきました。

私だって気持ちは同じでした。


この3人で行う初めての狩りが無事に終わったことが嬉しくないはずがありませんでした。

特にPKに襲われるというアクシデントに巻き込まれたのにそれを跳ね除けたのなら尚更です。


そんな気持ちに浸っていると不意にカガリさんが口を開きます。


「さて、早速だけど今日の成果は?私は結構レベル上がったけど進化するほどでは無かった。2人はもう進化できるの?」


そう聞かれて私はウィンドウを開きます。

種族レベル、職業レベルの横にはMAXと表示されていました。

これは進化できるということなのでしょうか?


「私は職業の方はまだだけど種族の方はもう進化できるレベルに達したよ。」


私がステータスの表示に迷っているとユキさんがそう言いました。


「私も多分できるとおもいます。種族、職業ともにMAXと表示されています。」


「やっぱりそうなんだ。2人とも進化先はどんな感じなの?」


カガリさんが好奇心からそう聞いてきました。

私は種族の方の進化先を確認します。

そこにはビッグスライムとポイズンスライム、アシッドスライムと言う3つの選択肢がありました。


「私の方は進化先はハイ・レイスってなっているね。リンさんの方はどうですか?」


「私はいくつか進化先の選択肢があるみたいです。ビッグスライム、ポイズンスライムそれとアシッドスライムとなっていますね。」


ユキさんに聞かれて私はそう答えました。

この中からどれを選ぶのですね。

私は1つずつ選択肢を確認していきました。


ビッグスライムは素直にスライムが大きくなった存在です。

特殊な力は増えないが単純にステータスが高いですね。

ポイズンスライムとアシッドスライムはそれぞれ毒と酸と言う特殊な力が増えています。

しかし、ステータス自体はスライムと大差ありませんでした。

これならビッグスライムの方がいいでしょうか?


「そうなんだ。ユキちゃんはすぐに進化する?」


「そのつもり。リンさんはどうしますか?」


「私もここで進化してしまうつもりです。見たところポイズンとアシッドは特殊なスライムになるけれどもステータスは低いみたいです。そのためビッグスライムにしようと思っています。」


「そうですか。では、お先にどうぞ。」


ユキさんにそう言われて私はウィンドウから進化を選択しました。

自分の体を眩い光が包み込みます。

光りは数舜ののちに収まり私の視界が元に戻りました。

進化したことで視界に数多くのシステムメッセージが表示されます。

私は一先ずそれをすべて消して体の調子を確認しました。


まず最初に感じたのは先ほどまでとの視線の高さの違いでした。

スライムの時は人の足元程度の高さしかなかったのがビッグスライムとなって2mぐらいまで高くなっていました。

それにより視線の位置も高くなり少し違和感を感じます。


「わお、凄く………大きいです………」


私のその変化を見てカガリさんが驚きの声を上げました。

当然です。

私自身この変化に驚いていたのですから。


私は自分の体を動かして動作を確認していきます。

スライムの時と同じように動かせそうでした。

次にスキルを確認していきます。

進化したことでいくつかのスキルが追加されていました。


あれ?

このスキルって………。


私は目に留まった1つのスキルを使ってみました。

するとみるみるうちに体が縮みます。

最終的には通常のスライムと同じ大きさまで小さくなりました。


「あれ、小さくなった。なにしたの?」


「はい。スキルの【縮小化】と言うのを使ってみました。」


そう。

私は【縮小化】のスキルを使ったのです。

それにより、私の体は小さくなり今までと同じ大きさになっていました。

戦闘の時はともかく町の中ではこっちの方がいいかもしれませんね。


「そんなスキルが追加されたんですね。」


「はい。他にもいくつか新しいスキルが追加されています。ユキさんも進化してみれば色々追加されるかもしれませんよ。」


「そうですね。やってみます。」


ユキさんはそう言うとウィンドウを操作しました。

すると彼女の体を眩い光が包み込みます。

光りは1点に収束し、ユキさんが姿を現しました。


「それが、ハイ・レイス?」


「はい。何か変わりありますか?」


「見た感じは色が少し青っぽくなっただけかな?」


「そうですね。私のような大きな違いは見当たりませんね。」


彼女の姿は元の法衣を着た幽霊姿から変わっていませんでした。

ただ、元の色が白に近かったのに対し今は少しだけ青みがかっていました。


「何かスキルは増えているの?」


「うん。いくつか増えているけど戦闘用みたいだからここでは試せないかな。」


「そうなんだ。」


ユキさんの返答にカガリさんは残念そうにそう言います。

しかし、すぐさま調子を取り戻すとこちらに向き直り口を開きます。


「さて、次はリンの職業だ。何があるの?」


そうでした。

私は職業の方も上げることができるんでしたね。


私は再びウィンドウを開き職業の転職先を確認します。

そこには上級盗賊と殺し屋と言う2つの選択肢がありました。

上級盗賊はともかく、殺し屋って………。


「2つ選択肢があります。上級盗賊と殺し屋だそうです。」


「へー。なんか物騒だね。」


カガリさんがそんな風に軽く言います。

彼女にとっては犯罪職と言っても関係ないのかもしれません。

私は再び2つの職種を確認していきます。


上級盗賊は単純な盗賊の上位互換。

ステータスの割り振りも今までと同じでした。

一方で殺し屋はATK-AGIの割り振りが高くなります。

現状、DEXは十分な値があるからステータスだけで見るなら殺し屋の方がいいかもしれません。

しかし、字面が良くないですね………。

いや、今さらかもしれません。


「殺し屋にします。」


私は2人にそう宣言するとすぐさまウィンドウを操作します。

こちらは種族の進化と違って変化は現れませんでした。

職業の変更なのだから当たり前です。

しかし、私のステータスには確かに殺し屋と記載されていました。


「どんな感じ?」


「そうですね………。現時点だと違いは分かりませんね。」


私は軽く体を動かして確認するも違いは感じられませんでした。


「まあ、そうだよね。」


「こちらもいくつかスキルが追加されたようですがここで試すわけにもいかないので、次に魔物討伐をするときに確認してみようと思います。」


「そうだね。じゃあ、今日はこれで解散かな?」


カガリさんのその言葉に私とユキさんは同意を示しました。

そして3人して「お疲れ様。」と言ってその日は解散したのでした。


--


次の日。


私は1人でアイン近くの草原で進化したアバターの性能を確認していました。

進化したことで当然ステータスは上がっています。

その上昇幅が大きいのです。


種族、職業ともに上位に進化した私の攻撃は草原の魔物を1撃で葬り去っていました。

正直この辺のモンスターでは相手になりませんでした。

今も1匹の狼にナイフを振るって光のかけらに変えたところです。


確かに私は進化によって強くなりました。

しかし、一方で進化によって生じた問題もあったのです。

それはビッグスライムの体の大きさです。


スライムよりも大きなビッグスライムでは敵の攻撃を避けきれないことが多々ありました。

しかし、それは些末な問題でありました。

大きな体が問題となるなら小さくすればいいのです。

私は【縮小化】のスキルを使うことで今まで通りに戦うことができていました。


最初こそ戸惑っていたが今では戦闘中に瞬時に【縮小化】を使ったり、解除したりと細かくサイズを変更することができるようになっていました。

これにより戦闘スタイルに幅を持たせることができ戦闘を有利に進めることができるようになるでしょう。


これなら次の町に行ってもいいかもしれませんね。


私はそう確信するのでした。

すでにここで得られる経験値では次いつレベルアップできるか分かりません。

狩りの効率を考えても次の町に行く方が得策と思えました。


次の町は生産者の町ツヴァイでしたね。


以前、アキに聞いたときはそう言っていました。

町の周りで様々な生産素材が手に入るから生産者の多くが拠点としている町。

未だ初心者装備な私はこれを機に装備を一新しようかと考えていました。

しかし、スライムの装備ってどんな装備なのでしょうか?


武器は何とか持つことができるけど、防具はあっても邪魔になるだけのような気がします。

まあ、その辺は町に戻ってから確認すればいいですね………。

私はそんなことを考えながら進化の確認を終わらせてアインの町に戻るのでした。

頭の中ではすでに次の町に行くことでいっぱいでした。


--


〇リンのステータス


====================


名前 :リン / 累計レベル20


種族:ビッグスライム レベル10

職業:殺し屋     レベル10


ステータス割振:

 STR: 63

 ATK:124(84+5+35)

 VIT:188

 DEF:129

 INT: 21

 RES:128(108+20)

 DEX: 71(41+25+5)

 AGI:133(43+40+50)


ボーナスポイント余り:0ポイント


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