表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/115

8-9


◆ゼクス近くの鉱山


「じゃあ、リンちゃんも気を付けてな。」


「私たちが心配する必要もないのかもしれないけどね。」


「はい、皆さんもお気をつけて。」


そんな風に言葉を交わした後ベルトさんたちと別れました。

どうせもう夜なのでここで休息をとればいいのにと思いましが彼らはどうせならより安全な上層に行くと言っていました。

そうして彼らは上層に向けて歩きはじめました。

彼らを見送った後私は野営のための準備をします。

と言っても焚火も起こし食事自体も携帯食料で済ましてしまうため後は寝床を用意するだけです。

さほど時間もかからずに準備を整えると私は早々に就寝しました。


--


朝には少し早いですが私は目を覚ますと周りの様子を確認します。

夜の間特に襲撃はありませんでした。

そのためゆっくりと休むことができました。

今日は下層に向かいます。

手早く朝食を済ませると私は早々に出立の準備を整え坑道の奥へと歩きはじめました。


「風景に違いが無くて退屈ですね。」


昨日と同じく坑道内を進むことになります。

そこはどこもかしこも岩肌むき出しの洞窟です。

それを見て退屈と思うのは仕方のないことでしょう。

きっとそうです。


力強くそう思いながら私は地図を片手に道を進みます。

道中現れるアイアンゴーレムはほとんど作業のように討伐していきました。

そうこうしている間に不意に下に続く階段にたどり着きました。

それは上層から中層に続く階段と同じように大きなものでした。

私はそれを下り鉱山の下層に向かいました。


「ここから下層ですね。」


私は声に出してそれを確認します。

しかし、目につく風景に大きな違いは現れません。

当然です。

鉱山という場所である以上この風景が変わることは無いでしょう。

私は早々に奥に進むことを決意すると足を動かしました。


「この下層は少量ですがオリハルコンやアダマンタイトと言った鉱石が取れるんですよね?ミスリルの採掘量も上層、中層よりも多いのでしたか?」


誰にともなく問いかけるようにして私はそう呟きました。

道々の壁を確認して鉱石の採掘ポイントを探します。

今のところ目立ったところに採掘ポイントはありません。


「あれ?」


進む道に地図に無い分岐があることに気が付きました。

私は地図と見比べながら道を進んでいました。

迷ったということはありません。

少なくともここまでの道で地図と異なる点はありませんでした。


「この道は何なのでしょうか?」


その道をじっくりと観察します。

どうも人が整備した坑道とは違うように見えます。

そう、例えば落盤した結果道が出来上がったかのような感じを受けます。


「調査の目的とは異なりますが気になります。」


私はしばしその場に留まり悩んでいました。

そして決意をして前を見据えます。


「気になったのであれば進みましょう。」


私は地図に記されていないその道を進むことにしました。

少なくない期待を胸に秘めて1歩1歩と歩み続けます。


--


その道はやはり今までの坑道とは違い整備された道ではありませんでした。

所々は崩落して道には大きな岩々が転がっています。

しかし、完全に塞がっているということは無く奥へ奥へと進むことができます。

私はワクワクとした気持ちを持ちながらその道を進み続けました。

しばらくすると大きな空間にたどり着きました。

単純な部屋のような形状では無く道のように奥へと続いています。

私は周りを見回しました。


「あ、あれは。」


そこには採掘ができる場所がありました。

私はそこに駆け寄り鉱石を採取します。


「え!?」


そこからはミスリル以外にもオリハルコン、アダマンタイトが採取できました。

少量ではありません。

掘れば掘っただけ上位鉱石がとることができるのです。

私は驚きました。

上位の鉱石は低確率でしか入手できないと聞いていたからです。

私は嬉しくなってしばらくその場で採掘を繰り返していました。

そんな時でした。


―ガタン


「!!」


私の背後で物音がしました。

私は咄嗟に音のする方向を向き腰にした武器に手を添えました。

嫌な緊張感が体を包みます。

音のした方角を注視しているとゆっくりと動く影が目につきました。

それは上層や中層でも見たゴーレムでした。

いえ、今まで見たものとは違います。

そのゴーレムの体を構成するのは輝かしい金属なのです。

鉄ではありません。

私は直感的にそれを理解しました。

あれは………ミスリル。

ミスリルゴーレムです。


「っつ!!」


私は短剣を抜き構えます。

話には聞いていました。

下層ではミスリルゴーレムが出ると。

そのミスリルゴーレムが今目の前にいます。

私は先制攻撃を繰り出そうと1歩前に出ようとしました。

その時気が付いたのです。


「あ!!」


ミスリルゴーレムは1体ではありませんでした。

岩陰になって分かりませんでしたがこの空間には数多くのミスリルゴーレムがいたのです。

彼らは一様に私に向かって歩み進めています。

見つかっているようです。

危機感なくここで採掘をしていたのですから当然です。

私は一度深呼吸をして落ち着きを取り戻します。

数が多かろうとやることに変わりはありません。

私は近くのミスリルゴーレムを倒すために地面を蹴りました。


―ブオン


ミスリルゴーレムは私の動きに合わせてその大きな腕を振るいます。

しかし、その攻撃はロックゴーレム、アイアンゴーレム同様に鈍重なものでした。

そんな攻撃に当たる私ではありません。

私はミスリルゴーレムの攻撃を掻い潜るとその胴目掛けて短剣を振るいました。


―ガチン


甲高い音が坑道内に響きます。

硬いです。

アイアンゴーレムの比ではありません。

しかし………。


「はぁあああああああ!!」


私は気合いを込めて短剣を振るいます。

その攻撃は深々とミスリルゴーレムの体に傷を付けました。

行けます。

この魔剣の力をもってすればミスリルゴーレムであっても切り倒すことができます。

私は2度、3度と短剣を振るいました。


「見えました!!」


その攻撃は次々にミスリルゴーレムの体に傷を付け、ついにはゴーレムの体内にあるコアが見えるところまで来ました。


「とどめです!!」


私の攻撃はミスリルゴーレムのコアを砕きました。

その瞬間、目の前のミスリルゴーレムは力なく倒れ光の欠片となってしまった。


「ふぅー。」


一息つきますがミスリルゴーレムはこの1体だけではありません。

私の目の前にはまだ数多くのミスリルゴーレムがいます。

私は再び短剣を強く握りしめると駆け出しました。


--


「これで6体目です!!」


私が6体のミスリルゴーレムを討伐した瞬間それが目に入りました。


「あれは?」


それは一見してロックゴーレムのような見た目でした。

ごつごつとした岩肌を持つ巨人です。

なぜ、ここにロックゴーレムがいるのでしょう?

私の疑問に応えてくれる人はいません。

そのゴーレムは私に向けて近づき、他のゴーレムと同じようにその大きな腕を振り上げ攻撃してきました。

鈍重なその攻撃を避けて懐に入り込もうとしたその瞬間。


―ドッカン!!


ゴーレムが殴りつけた床が爆発しました。

その爆発に巻き込まれて私は吹き飛ばされます。


「っつ!!」


何が起きたのかすぐには理解できませんでした。

私は起き上がりそのゴーレムを注視します。

ゴーレムは再び私に近づき腕を振るいました。

次は大きく飛び跳ねるようにしてその攻撃を避けます。

嫌な予感は的中です。

ゴーレムの殴りつけた床は再び爆発して四方八方に破壊をまき散らします。


「このゴーレムは爆発する岩で体を構成しているのかしら?」


だとすれば危険です。

鈍重な攻撃だからと言って今までと同じようにギリギリで回避していては避けきることはできません。

しかし、気づいてしまえばどうということはありません。

私は素早い動きを生かしてゴーレムの背後に周り短剣を振るいました。

見た目通り岩でできたこのゴーレムはミスリルゴーレムほどの耐久性は持っていません。

私の攻撃は深々とゴーレムの体に傷を付けました。

その傷はゴーレムのコアにまで達し光の欠片へと姿を変えることができました。


「ふぅ。」


ゴーレムを倒して一安心しました。

私は再びミスリルゴーレムを討伐するために周りを見回しました。


「え!!こんなに!?」


そこにいたのは先ほど倒した爆発岩のゴーレムでした。

それも周りを取り囲むようにして何体も影が見えます。

私は驚きとっさの行動をとることができませんでした。

そんな私を倒そうとしてそのゴーレムたちはいっせいに飛びかかってきました。

両腕を大きく振り上げて私目掛けて飛んできます。

私は横に飛んでゴーレムの攻撃を回避します。


―ドッガァアアアアアアア!!


ゴーレムの攻撃は地面を強く揺らし巨大な爆発を起こしました。

間一髪でその爆発から逃れることができました。

しかし、その瞬間予想もしなかったことが起きたのです。


「え!?ちょっと!!」


爆発の威力に耐え切れず足元の床が音を立てて崩れてしまったのです。


「きゃぁああああああああああああああ!!」


私はその崩落に巻き込まれて地下深くへと落ちていきます。

そこには真っ暗な奈落が口を開いていました。


よろしければブックマーク登録と評価をお願いいたします<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] リアクティブアーマーだと…?
[気になる点] 爆発石のゴーレムって、近接物理攻撃当てても爆発するんじゃ・・・?
[一言] これは……耐久からの新エリア開通イベントじゃな?w 少なくとも事前情報で下層で取れる鉱物に爆発性の物は無かった筈だし、一斉起爆→崩落の自爆ギミック臭いw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ