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8-6


◆ゼクス近くの鉱山


アルカディアの国政に関わるあれこれを終わらせて私は鉱山に訪れていました。

目的は崩落した坑道の先を調べるためです。

ラインハルトさんに頂いた地図を確認しその場所を目指します。


「大分深いですね。」


ついつい独り言がこぼれてしまいます。

地図を確認するとその場所は鉱山の奥深くです。

とても1日ではたどり着けそうにありません。

私は気合いを入れて坑道を進みます。


「浅い階層では魔物は出てこないようですね。しかし、奥はそうではないと………。」


これもラインハルトさんから聞いていた情報通りです。

ゼクス近くのこの鉱山では浅い階層は魔物が出てきません。

NPCの鉱夫はこの浅い階層で鉱石を採掘しています。

手に入る鉱石はミスリルが主ですが他にも鉄や銅、銀や金と様々です。

昔はさらに深い階層にも取りに行っていたようです。

そこにはアダマンタイトやオリハルコンと言ったより上位の鉱石が取れるそうです。

しかし、今では魔物が出現するようになってしまったためNPCの鉱夫はそこまで行きません。

プレイヤーは違います。

彼らは上位の鉱石を求めてより深くの階層に行っています。

そのため数は少ないですが上位の鉱石も市場には出てきています。


「アダマンタイトは硬い金属、オリハルコンは刃物に適した金属でしたね。たしか………。」


所謂ファンタジーの金属であるアダマンタイト、オリハルコンそしてミスリルはそれぞれが特徴的な特性を持っています。

ミスリルは魔法伝導率に優れた金属で魔道具や魔法剣士の武具に使われます。

アダマンタイトはとにかく硬く丈夫な金属です。

主に鎧や盾などの防具や鈍器などに使われます。

オリハルコンは加工がしやすくより鋭い刃を作り出すことができます。

そのため剣などの刃物に使用されます。


「できることなら、そう言う鉱石を取れるといいかもしれません。」


今回調査する崩落した坑道の先で上位鉱石が大量に手に入ればよりゼクスという町の価値が上がります。

そうなればいいなと思いながら私は歩を進めました。


--


「魔物ですか?」


視界の端に動く影が見えました。

じっくりと注視すると岩陰からのそりと岩肌の巨人が出てきました。

ロックゴーレムです。


「じゃあ、この辺から上層になるのかな?」


私は短剣を取り出しそう呟きました。

この鉱山では魔物の出現しない浅層に対して魔物が出現する階層を上層としています。

ここでロックゴーレムが出て来たことを考えるともうここは上層なのでしょう。

ここからはより注意して進む必要があります。

私はそう意気込みながら目の前のゴーレムに集中します。


「驟雨の双剣で行う初めての戦闘です。」


私はそう言うと地を蹴ります。

一瞬でロックゴーレムに接敵すると手に持った短剣を振るいます。

以前までのナイフと比べて刃渡りの伸びたこの短剣はロックゴーレムの体を深々と切り裂きます。

私は交差する一瞬に4度切りつけました。

するとロックゴーレムはバターのように滑らかな断面を残してバラバラに解体されてしまいました。

それを見て私は喜びを隠せません。


「流石魔剣です。単純な武器の性能でも今までのナイフよりも良いですね。」


ロックゴーレムは光の欠片となって虚空へと消えていきます。

しかし、惜しむべくはこの一瞬でけりが付いてしまったことです。

せっかくの魔剣だというのに魔法効果を確認する暇もありませんでした。

しかし、それは次の機会に取っておきましょう。

そう思うと私は武器をしまって坑道を奥へと歩いていきました。


--


「ここは昔の採掘場でしょうか?」


そこはひと際広い空間でした。

古いトロッコのレールが敷かれたその場所は段々になった壁が示している通り大規模な採掘場だったのでしょう。

そんな場所の入口で私は足を止めました。


「数が多いですね。」


目の前にはロックゴーレムの大群がいます。

採掘場を埋め尽くさんばかりのロックゴーレムがそこにはいたのです。

私は再び短剣を取り出して戦闘の準備を整えます。

未だロックゴーレムたちは私の姿に気が付いていません。

先手を取るなら今です。


「そうだ、魔法効果………。」


ついでとばかりにこの場で魔剣の魔法効果を試すことを思いつきます。

私は驟雨の白剣に目をやります。


「確か魔法効果を発動するとAGIが上昇するのでしたっけ?」


白剣に意識を集中して効果を発動させます。

その瞬間体に力が湧き上がってくるのを感じます。

上手く発動したようですね。

私はその力を使って地面を蹴ります。


「え!?」


目測で30mはあったかと思います。

それほどの距離が離れていた場所にいたロックゴーレムに一足で接敵できてしまいました。

私は驚きながらもその勢いを殺さないように短剣を振るいます。

私の攻撃はロックゴーレムの足を両断しました。

バランスを崩して地面に倒れそうになるロックゴーレムに続けざまに剣を振るいます。

数度の攻撃でロックゴーレムは光の欠片へと姿を変えました。


「うん。いい感じです。」


私はその様子から魔法効果が確かに仕事していることを実感しました。

そして他のロックゴーレムに視線を移します。

周りのロックゴーレムも仲間が倒された異変を察知して私の姿を捕えます。

しかし、それも次の瞬間までです。

私は再び足に力を入れて走りだします。

その速度に付いてくることができずにロックゴーレムは私の姿を見失います。


「次行きます。」


私は手近なロックゴーレムに近づき両手に持った短剣を振るいます。

その攻撃はゴーレムの急所であるコアを破壊します。

足を止めずに次の得物、次の得物と攻撃を繰り返していきます。

その攻撃についてこれるだけのAGIをロックゴーレムは持ち合わせていません。

ロックゴーレムたちはなすすべなく光の欠片へと姿を変えていきます。

私はそれを後目に次々とロックゴーレムたちを屠っていきます。


「ふー。」


11体のロックゴーレムを討伐したところで私は足を止めました。

未だ採掘場には数多くのロックゴーレムがいます。

しかし、私に危機意識はありません。

彼らの攻撃は私を捕えることができないのですから当然です。

私のすぐ近くにいたロックゴーレムがその大きな手を伸ばしてきます。

それを視界にとらえた私はすぐさま地面を蹴ります。

ロックゴーレムの腕は虚空を掴むだけでした。

次の瞬間にはコアに致命傷を受けて光となって消えていきます。


「ラストスパート行きます。」


私は両手に持つ短剣を握りしめて地面を強く蹴ります。

採掘場を縦横無尽に走り周りその場にいるロックゴーレムを切り刻んでいきます。

遂に残すところあと1体です。

私は正面からロックゴーレムに近づくと一瞬の交差の瞬間にロックゴーレムの体に無数の傷を付けます。

その攻撃はロックゴーレムのコアを破壊し光の欠片へと変えてしまいました。


「終わりですね。」


私は足を止め周りを確認してそう呟きます。

採掘場に動く影が無いことを確認した私は短剣をしまいました。


「少し休憩しますか。」


私はそう言うと手近な岩に腰を落としました。

そして改めて採掘場を見回します。


「この採掘場は何が取れるのでしょうか?」


私は足元の石を一つ広い確認しました。


石ころ【素材】


ただの石でした………。

これでは何を採掘していたのか分かりませんね。

仕方なく私は腰を上げて手近な岩壁に近づきました。

そして持ってきた採掘用のピッケルで岩肌を崩します。


鉄、鉄、ミスリル、アダマンタイト、ミスリル。


「!!」


驚きました。

まさか上層でアダマンタイトが取れるとは思ってもいませんでした。

その後も少し掘り進めましたがアダマンタイトが取れたのはこの1度きりでした。


「大量にとることはできませんがここでもアダマンタイトが取れるのですね。これは発見です。」


ここに来るまでに聞いていた話ではアダマンタイトやオリハルコンは下層以降でしか取れないと聞いていました。

それが上層でも取れるというのは新発見です。

この発見だけでも十分ですが私の今回の目的は下層以降、崩落した坑道の先にあります。


「これはこの先にも期待が持てそうですね。」


ますますの期待感を持って私は坑道の奥へと進み始めます。


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[気になる点] アキに対してや第1話の独り言では普通の喋り方なのに、今では独り言も敬語になってて違和感。
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