透過した彼女たちは
低速終わったあああああああああああああああ
「懐かしいな」
独り言は響かない。
真っ暗な自分の部屋でなにをしてるんだろうかと自分でも思う。
過去は俺の中には消えず、いつまでも残り続けている。
俺が消そうとしても消せないものなのだ。
佐藤佳奈が俺に植えつけたものもその1つ。
気づくと外は明るく、下の部屋で物音がしていた。
スマホの充電はない。
俺はだるい体を起こしそのまま下に降り、リビングに向かった。
「おはよーにいちゃん」
「おはよ」
「なんでそんな制服汚いの」
「気づいたら夜が明けてたんだよ」
「まーた帰ってすぐずっとゲームしてたんでしょ」
「寝てた」
「嘘つけ〜目の下にクマさんがでてますぞ〜がおー!」
「朝からテンション高いな」
こいつは長塚 凪沙。俺の妹だ。
俺の1個下の俺より頭のいい高校1年だ。
学年トップで運動神経抜群の超優等生で容姿もクラスの男子から人気らしい。
俺に似てるというより比村先輩や佐藤の方が似てる気がする。
「にいちゃんできましたぞー」
「どーも」
「それでお前テストどうだったんだ」
「んーそんなよくなかったかな」
「へえ、んで何点取ったんだよ」
「99点」
「は?」
「いやあ私としたことが英語だけ1問ミスって100点逃しちゃって」
「他の教科は?」
「100点だけど」
「ふざけるなあああああああああああああああ」
◇◇◇
というわけであの大発狂から10分が経った頃、俺と凪沙は玄関にいた。
俺たちは学校は違うが、距離は同じくらいなので一緒に出ることの方が多い。
ただ違うのはぼっちかぼっちじゃないかだ。
「おはよー葎花!」
「おはよー!あ、お兄さんもおはようございます!」
「葎花ちゃんおはよう。いつも悪いなこいつのせいで」
「いえいえ私も好きで来てるので全然…」
この子は朝倉葎花ちゃん。
凪沙の幼馴染で幼稚園から共に過ごしている大親友だ。
もちろん今も一緒の高校で同じクラスだという。
そして嶋音の妹でもある。
「じゃあにいちゃん行ってくるねー!」
「行ってきますお兄さん」
「おう、いってらー」
2人の背中を見送ったあと俺も反対方向へ向かって歩き始めた。
俺は作り笑顔をやめ、背中を曲げる。
イヤホンを取り出し、スマホにつなげようとしたが生憎スマホは充電切れだ。
液晶に反射した自分の顔は本当に最悪で、見るに耐えない。
電車に乗って、席に着くと寝ていた。
ギリギリで学校の最寄りで降り、また足を動かし始める。
その足取りは入学式よりも重く、学校に行きたくない自分と行かせたい自分が混じり合い溶け込んでいく。
そのまま教室へ向かうとクラスはざわついていたが、そんなことどうでもよく、俺は机に突っ伏して寝た。
次に目覚めた時にはクラスの誰もがいなかった。
多分1時間目の体育に行ったのだろう。
まだ眠かったが、俺は体を起こし体育着が入っているだろうバッグに手を突っ込んだ。
しかし俺は昨夜バッグを触った記憶がない。
「あれ……」
案の定バッグの中には何も入っていない。そしてこれも案の定、全てがどうでもよくなった。
そしてもうチャイムがなる頃だ。
俺は体を起こし、教室を出て階段を登った。
4階に行くとドアは開いていた。
俺はそこから屋上に出ると先客が1名、外を眺めていた。
「いたんだ柊」
「お…響じゃん、お前もサボりかあ?」
「まあね、お前ほどサボってないけどな」
「うっせーよ1回サボったらもう同罪だろ。んでどうやって抜け出してきたんだよ」
「起きたらみんな消えてたんだよ」
「ああお前珍しく机に突っ伏して寝てたもんな」
「柊が朝来てたんだ…珍し……」
このイケメンの名前は九條柊。俺のサボり仲間だ。
出会ったのは高1の秋くらい。サボりに屋上に来たらガン飛ばされたのがきっかけだ。
こいつは俺以上のサボり魔で来たらだいたいいる。
しかし成績は2学年でトップでオール満点のバケモノだ。
そして顔もイケメンで彼女までいる。
「それで嶋音とはどうなんだよ」
「まあぼちぼちだな〜、もうすぐでヤれそうって感じだな」
「おいおいヤリモクかよ」
「嘘だって、まあそれよりもうここ飽きたから帰るわ」
「じゃあ俺も帰るわ」
「お、珍しく付き合いいいじゃねえか響」
「まあね俺も今日は帰りたい気分だったんだよ」
階段を降りると、授業の終わった生徒たちがちらりと見えた。
体育着を来ていたので俺たちのクラスだろう。
しかし聞いたことのあるあの懐かしい、いや封印していたあの声が脳内じゃなく耳からしっかりと聞こえた。
「佐藤さんって肌綺麗でいいよね〜」
「そんなことないよ〜」
「でもでも彼氏とかいるんでしょ?」
「それがいないんだよ〜」
「え!そうなの!私、男の子だったらすぐにアタックしちゃうよ〜」
体が震えた。足が動かない。鼓動が早くなるのを感じる。
「なあ佐藤さんって可愛いよな」
「あの人誰」
「あ〜お前寝てたから聞いてなかったか」
そして言われる。
僕が恐れていた事実を。
「今日転校してきたんだよ、佐藤佳奈さん」
あとがき書いてる途中でなぜか全部消えちゃったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
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