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平成初期型!!  作者: 稲田心楽
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5ページ目

 

 今までは自然に好きになって、『付き合わない?』といった具合の少しライトな告白だったが、今回は付き合う前から、死ぬほど愛してるレベルだ。ビビって当然だし、怖くて当たり前だ。安奈の話しだと、断られる可能性はほぼゼロだが、お得意の臆病風が吹き抜けていた。



「彩乃と話して分かった事があるんやけど……」


「何?」


「あの子、すごい焼きもちやきやわ。この間、テニス部の子と話ししてたやろ?」


「テニス部の? このみの事か?」


「そう。日焼けして真っ黒やけど、めっちゃ可愛いやん」


「いや、中学が一緒でさ。たまたま話ししてただけで」


「彩乃、めっちゃ意識してたよ。体育の時間とか」



 僕は、笑っている彩乃と腹痛で悶絶していた顔ぐらいしか知らない。彼女の色んな表情を見たいし、誤解も今すぐにでも解かないといけない。早くしないと、彩乃を狙っている男がゼロというのはあり得ない訳だから──。



「彩乃って、モテるよね?」


「モテるね。かなり。この間も、放課後に告白されてたよ」


「誰にっ?」


「3組の遠藤」



 3組の遠藤は、我々の制服の着こなしを真似っ子してる金髪のアホだ。アホかどうかは分からないが、多分アホだ。



「ぶっ殺してやる!」


「近ちゃん、そいつすでに死んでる模様」


「どういうこと?」


「彩乃、即効で断ってたよ。こんなところ近本君に見られたら誤解されるって言ってたわ」



 臆病風はもう吹き抜ける事はないだろう。完全にスイッチが入ってしまった。この飲み会もどうでもよくなってきた。彩乃に会いたくて仕方がない。今すぐにでも。



「盛り上がってるところ悪い。軟骨唐揚げと揚げ出し豆腐」



 リーチは空いているお皿を片付けて、黒い角皿と赤いお碗を置いてくれた。



「ありがとう。めっちゃお酒飲みたい」


「それな。近ちゃん」


「後で5分ほど時間くれるか?」


「ん? どしたん?」


「いや、おまえが店に来た時に伝えとかなあかんと思ってな」



 リーチが真剣な顔で見ている。一体何の話しなんだろうか──。心当たりがないから少しドキドキした。何より、あんな表情のリーチは見た事がなかった。




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