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平成初期型!!  作者: 稲田心楽
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4ページ目

 

 彩乃はお腹が弱い──最近は大丈夫そうだったが、そっちの方も心配だ。無駄なストレスを彼女に与えてしまった事が悔やまれる。



「彩乃の事はどう思ってるん?」


「どうって、彩乃は話してるの?」



 彩乃と仲良くなれたのも、突き詰めていけば安奈との人間関係である。ファミレスで相談を受け、薬を常用するほどかなり強くストレスを感じていると言っていた。だが、安奈の口ぶりだと、色々と改善されているように思えた。



「彩乃には相談に乗ってもらっててさ。何かめっちゃ距離が縮まった気がして」


「江戸やんとの事?」


「それも含めて本音で話しした。思ってる事とか」


「そうなんや」



 ルカの事はさておき、彩乃と安奈は、ただ一緒にいるグループの関係ではなくなっているみたいだ。最近、彩乃とまともに話しをしていなかったから、彼女を取り巻く環境の変化に気づかなかった。



「彩乃は悩んでたよ。その歳上の女とは別に、やり直そうとしてる彼女の事とか」


「……」



 彼女の気持ちがハッキリと分かった。これまでは、“友達になって”と言われたから、それ以上は考えていないかもしれないと思っていた。前の恋の傷も癒えていない状態だったから、また傷付くのが怖かったのもある。本当にぼやぼやしていたら、取り返しのつかない事になるだろう。



「彩乃がいたから乗り越えられたし、前に進めたと思う」


「そんなんいらないねん。女は」



 少し強い口調で言われた。江戸やんと安奈の前で、彩乃を愛していると言うのが照れくさかった。でも、ぼやぼやしてられない。時は刻々と刻まれているのだから。



「大切やし、好きやで。いつ告白するか迷ってたら夏休みに入ってしまった」



 安奈は頭を抱えていた。煮え切らない僕に苛立っている感じだ。僕自身もある意味楽になりたいし、江戸やんの幸せそうな顔を見ていると、その気持ちはより一層強くなった。



「明日、バイトかな?」


「分からんけど……何で?」


「明日、告白しに行こうかなと思って」



 思わず言ってしまった。江戸やんと安奈の前で言ってしまった。勢いもあるが、これで逃げも隠れも出来ない状態になってしまった。





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