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平成初期型!!  作者: 稲田心楽
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5ページ目

 

「タバコ吸っていい?」


「いいですよ。僕もいいすか?」



 彼女はメンソールのタバコをドアポケットから取り出して、シガーライターで火を付けた。僕もそれを借りて、タバコに火を付けた。いつも江戸やんからもらったジッポライターを使っていたので、あの独特の香りがしないシガーライターに物足りなさを感じた。



「近本君、ベル持ってる?」


「はい。持ってます。昨日からですけど」


「昨日まで持ってなかったん?」



 5人組とは学校で毎日会っていたし彼女もいない。必要ないと思っていたけど、夏休みに入ると連絡も取りにくいという事で、全員がポケットベルを持つ事になった。



「後で教えくれる?」


「いいですけど、あんまり使い方分からないです」



 車内は2人の副流煙で少し曇っていた。彼女は、黒のミニスカートにぴったりとした白のシャツ、金色でどこかのブランドのロゴがプリントされていた。見るからに高そうである。ハンドルを握っている左手首には、ダイヤモンドが散りばめられた高級腕時計が輝いていた。



「七恵さん、この間聞きそびれたんですが何の仕事をなさってるんですか?」


「言わなかった? 北新地でホステスやってるけど。今度遊びにおいで」



 北新地──行った事はもちろんない。同じ大阪ではあるが未知の世界だ。綺麗なお姉さんとお酒を飲むエリアという事は、高校生の僕でも知っている。



「いやいや、無理ですよ。芸能人とかが遊ぶところですやん」


「お笑いの人来るよ。師匠クラスやけど」


「お金持ってそう。その時計も客のプレゼントですか?」


「これはお母さんに買ってもらったかな」



 そんな時計を買ってもらえるという事は、所謂“ええとこの娘”である可能性が高い。それなら、何故ホステスをしているのか聞きたかったが、それよりもミニスカートから出ている脚がどうにも気になって仕方がなかった。



「近本君、さっきから、めっちゃ脚見てない?」



 普通、見ていても、『見てるわけないです』とか言うもんだが、僕は正直に言った。



「見てますね。ガツガツに」


「正直でよろしい」



 信号が赤になり、七恵は挑発するように美脚を見せてきた。



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