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ほんのり汗臭さの残る白い開襟シャツに着替えて、彼女達の待つリビングへと向かった。
明らかに香織さんの趣味ではないであろう置き物がありとあらゆる場所に置かれている。熊が鮭を咥えている木彫りのそれは、大きな黒いブラウン管のテレビの上に置かれており、ガラスの広いテーブルの上には金色の壺のような花瓶、殴られたら確実に死ぬであろうゴツゴツとした灰皿があった。
「めっちゃキョロキョロしてるやん。可愛い」
黒いハイレグの七恵さんが僕の腕を掴んできた。そんなに大きくない胸が僕の二の腕を刺激した。僕が出会った大人の女性ではダントツの美しさだ。ただ、彼女の首筋から漂う香水の香りは、去年の9月5日に付き合った前の彼女と同じものだった。
「あっ! 七恵、ズルい!」
江戸やんの横に白いビキニの優香さんが座った。この人もとんでもなく美しい。おそらくその美貌で飯を食っている方々であろう。纏っているオーラが半端ない。僕は、白いビキニから溢れ落ちそうな胸を見入ってしまった。
「君、ひょっとして巨乳好き?」
七恵さんが僕の二の腕をつねってきた。
「まさか。素通りですよ。胸などは」
「どういう事? ひょっとして直行?」
「イエスです」
「何それ。この子めっちゃおもろいねんけど」
レプが僕の隣に来て肩に手を回してきた。
「こいつが高1からの友達で近ちゃん。我がグループのリーダーや」
「リーダーはレプやろが」
「ほんでこの飛び抜けて男前が、東京からの転校生で江戸やん」
僕と江戸やんは立ち上がり、深々とお辞儀をした。
「深いな。お辞儀が深すぎて面白いねんけど」
レプの彼女である香織さんが爆笑していた。僕の推測では彼女がリーダーだ。別に赤いスパンコールの水着だからではない。確かに戦隊モノでも赤がリーダーではあるが、そうではなくて、独特の存在感というか、そういったものが彼女には備わっているように感じた。
「でかした。七恵も優香も喜んでるしな」
レプの頭を撫でる香織を見て、レプが歳上にハマる理由が少し分かった気がした。