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大阪で1番の繁華街、アメリカ村にある誰がどう見ても高級なマンションの一室に僕等はいる。レンガ造りのそれは、とっても悪い事をしているか、何かで成功していないとエントランスにさえ入れてもらえない佇まいだ。
「レプ、昨日の今日で制服洗ってないけどいいのか?」
「ええやろ。逆にそんなん好きなはずやし」
「軽く変態じゃないのか」
「我々男よりもある意味ではエグいぞ」
僕等は私服から制服に着替えるように命じられた。リビングではお姉さま方は何故か水着姿だった。部屋の中で水着姿の女性を見るのは初めてで、もの凄くいやらしく感じた。
「ていうか、でかいベッドやな。4人ぐらい寝れるぞ」
僕等が案内された部屋には、とてつもなく大きな黒いベッドが横たわっていた。異様なほどの大きさである。要らぬ妄想を嫌でも掻き立てられるそれは、全てを飲み込むブラックホールに見えた。
「このベッドで香織とやりまくってるよ」
「香織って、あの赤いスパンコールの水着の?」
「そう。あんな水着なかなか売ってないで」
「いや、売ってるとかじゃなくて何で水着なんや?」
「多分、俺達を挑発して楽しもうとしてるんやろな」
リビングで彼女達を見た時、正直引いてしまった。だけど、全員とんでもなく美人だ。赤いスパンコールの水着の香織さん、黒いハイレグの七恵さん、白いビキニの優香さん。着替え中にレプから名前を教えてもらったが、七恵さんがダントツでタイプだ。彩乃という好きな人がいながら情けない話しではあるが、僕も男である。あんなものがいきなり視界に飛び込んできて、興味ありませんなどとほざくなら男を卒業しなければいけない。
「お前ら、準備はええか?」
「レプ、確認してもええか?」
「何の確認や?」
「今日は何の会?」
レプと江戸やんが爆笑している。素朴な疑問だが、愚問といったところか──。
「近ちゃん、実は俺も何会とは思ってた。腹痛え。マジ面白い」
レプがいきなり真面目な顔をして今日の趣旨を話した。
「とりあえず赤いスパンコールは俺の女。あとは適当にしていい」
「いや、漠然としすぎちゃってるから」
どうやらルール無用の仮装パーティーである事が判明した。