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「安奈はもともとベタ惚れやからな。お前に」
「リーくん、それってマジなの? 話してる感じではそんな風に思えないけど」
「近ちゃんやったらズバッと聞いてそうやな」
確かに今までの僕ならそうしているかもしれないが、意外にチキンである事が判明。別れた彼女にだって聞きたい事は何も聞けなかった──。
兎に角、失恋の痛手がそれほどでもない江戸やんにほっとしていた。リーくんも、この間の食堂合コンで良い感じになってる歳下女子もいる事だし。レプは基本女に不自由した事がない。たても、ルカと時間の問題だし、よくよく考えてみると残念なのは自分だけじゃないかという現実。
「とりあえず江戸やんの話しはひとまず置いといて、俺のお願いを聞いてくれ」
今のレプの彼女は25歳である。正直、どの女が本命なのか分からない。大体20歳を過ぎた女ばかりで、10代の女とどうこうなったと聞いた事がない。
「彼女の友達に、制服姿の男前を何人か集めてくれって頼まれて」
「それっていつだんの?」
「明日」
「悪い、明日は予定あるわ」
リーくんは地元の連れと大事な集まりがあるらしい。暴走族から足を洗う日みたいだ。
「それはあかんわな。最後バシッと決めてこいや」
「おうよ。たて、お前はレプの頼み聞いたれよ」
「すんまへん。明日はおかんの誕生日でして。漫談を聞かす約束でんねん」
意外だった。みんな眼を丸くしている。江戸やんと安奈が良い感じと聞いた時よりある意味驚いた。親にそういったプレゼントを用意しているたてを少し見直したと同時に、花束一つ送った事のない自分が本当にちっぽけに思えて、本物の馬鹿者はこの僕であったと思い知らされた。
「すんまへん。レプはん」
「かまへん。新ネタか?」
「はいな。産んでくれてありがとう的な漫談に仕上がってます」
「またホームルームでも聞かせてくれ」
「はいな」
リーくんとたてが行けないという事で、残った僕と江戸やんという事になるが、江戸やんには安奈がいるし、不参加の可能性がある。僕もそんな7つも歳が離れた女性と何を話していいか分からない。でも、レプがこうしてお願いするのも初めてのような気がするしどうしていいものか──。