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彼の有頂天面を見たくないが報告はしないといけない。ありのままを伝えるのは釈に触るが──。
「……みたいやで」
「ん? 聞こえまへんがな。そんなボソボソ言われたら」
「飯ぐらいならOKだとっ!」
「マジでっか! それは光栄ですわ!」
彼の表情を見ていると、ルカに対して本気なのかもしれない。もっとふざけて、神経を逆撫でするようなはしゃぎ方をするんじゃないかと想像していたが、安堵混じりのその笑顔がそう感じさせた。
「で、東京の女や食堂合コンの歳下女はどうするのかね?」
「あれは遊びでんがな。ルカと良い感じなったら全部綺麗にしまっさかい」
適当な男だ──僕はそんな器用に振る舞えない。自分の事をもっと融通の効く男だと思っていたが、どうやらそうではないらしい。臨機応変なたてを見てあんな風になれたらどんなに楽だろうと思た。
「近ちゃん、たてと何か面白い事でもやるんか?」
レプとリーくんが肩を組みながら会話に入ってきた。僕は事の経緯を彼等に説明した。
「は? お前、趣味悪すぎやろ。ルカとか」
「リーくんはん、そない言いまっけどルカはスカート短いでっせ」
「いや、大体の奴が短いやろが。どういう基準やねん」
確かにうちの学校の女子は、全体的に見てもスカートが短い。僕の思い違いかもしれないが、学年が上がるごとにさらに短くなっている気がする。
「俺はあの3人やったら断然高橋やな。同い年には興味ないけど」
「レプもか? 俺も。あいつええよな」
リーくんが僕の方を見て笑った。彩乃との事を知っているのは江戸やんとリーくんだけだ。
「彼氏いてるやろ。あのクラスは」
レプとリーくんの話しを聞いて、とんでもない事に気がついてしまった。世の中には僕以外にも沢山男はいる。当然、彩乃を狙っている男もいるだろう──。学校だけじゃなく、バイト先や、地元の友達、盛り沢山である。そして時の流れは平等であり、ライバル達は自分達のペースで彩乃をモノにしようとしているはずだ。そんな事を妄想していたら胸がざわつき始めた。グズグズしていると、取り返しの付かない事になってしまう。そうなる前に何か手を打たなければ。