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ホームルーム終了後、下校の準備をするルカに声を掛けた。
「ちょっと話しあるわ。外に来てくれ」
「は? 何なん? 怖いねんけど」
「時間は取らせへんから」
「まさか告白?」
「とりあえず来てくれ」
僕は教室の外にルカを連れ出した。その様子を彩乃が見ていたが、後でルカが必ず説明するだろう。廊下の壁にもたれ掛かり、ルカに呼び出した理由を言った。
「……館林が? 何で近本がそれを言うの?」
僕は交通量調査の件もルカに話した。それを聞いたルカは、腹を抱えて笑っている。
「マジで? めっちゃおもろい! でも、館林を見た事はないけどな」
終了である──これ以上ないぐらいの答えが返ってきた。これで納得してくれるだろう。現実は思っている以上に厳しいという事だ。そんなに甘くない。
「顔は好きかな。あいつ、彼女いてるん?」
「えっ?」
どういうことだ──人生はそんなに甘くないはずだ。こんな適当な方法で上手くいくはずがない。
「あいつ、面白いしな。お茶ぐらいやったらええよ」
「待て待て。よく考えろよ。あのスーザンやぞ!」
「スーザンて誰なん? とにかくこっちはOKやから」
そんな馬鹿な事があっていいのか──交通量調査の件、本人ではなく代理を立てての告白、こんな適当な感じでOKを出すルカとか息しているのか。
僕はルカの後を追うように教室に入った。担任がまだ来ていないので、教室内は騒がしい。ルカは安奈と彩乃のところへ行き、大きな声で笑っていた。彩乃と目が合ったが、あからさまに逸らせれてしまった。それもこれも全て奴のせいだ。何故、奴ばかりトントン拍子で事が進むんだ。心の奥底から怒りがこみ上げてきた。
「近ちゃんはん、どないでしたか? えらいルカがこっち見て笑ってましたが」
「君は誰かね? 転校生かね?」
「いやいや、わてですがな。みんなの癒し、館林でんがな」
この能天気な顔を見ると、本気で殴りたくなった。確かに男前で、ホームルームで漫談とかやってしまうほど面白くて、欠点という欠点が見当たらない男だ。強いて言うなら、私服が超ダサいぐらいか。
「君、クラス間違えてんじゃない?」
「またまた。ルカは何て言うてはりました?」