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平成初期型!!  作者: 稲田心楽
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9ページ目

 

 僕等は少し街をぶらつき、美容院ではなく理髪店で髪を切った。美容院だと気が変わり、お洒落パーマをあてかねないからだ。断髪式と言っても丸刈りにするわけではない。そこまでの勇気はなかったし、髪の毛命の我々ロン毛野郎には、余りにも過酷な罰ゲームになってしまうから。



「めっちゃスッキリしたわ」


「近ちゃん、すごい若返ってるんだけど」


「江戸やん、長いより似合ってるで」



 髪の毛は全体に立つぐらいの長さまで切った。ここまで短いのは小学生以来だ。僕は残っていた茶色の部分もこの際だから黒髪に染めた。黒髪にするのもかれこれ2年ぶりぐらいだ。



「やばいわ。頭がめっちゃスースーする」


「スースーとか面白い。あれだな、シャンプーとトリートメントが少なくて済む」


「確かに」



 みんなとの合流時間まであと5時間近くある。今から渋谷に向かっても何の問題もないが、もう少し江戸やんと話したかった。



「近ちゃん、飯でも食うか」


「そうやな。大丈夫か? 食欲ある?」


「普通にあるよ。ラーメンでも食おう」


「東京のラーメン!」



 僕等は電車に乗り、池袋に向かった。江戸やんが子供の頃からの行きつけの店があるらしい。僕は食べた事はないが、『つけ麺』というものがあるらしい。ラーメンではなく、ざる蕎麦のように麺と汁が別々にくるスタイルだそうだ。



「結構行列やな」


「人気店だからな」



 駅から少し歩いたところにその店はあった。店の前には、5人ほど店が用意したであろう折りたたみの椅子に座っていた。僕等は最後尾に並んで順番を待った。



「生まれて初めて食べるわ。つけ麺」


「思ったんだけど、大阪ってラーメン屋少ないよね。つけ麺屋とか見た事ないもん」


「ベタな中華屋はあるけど、ラーメン専門店ってあんまりないよな。つけ麺とかいうワード自体初めてやわ」



 江戸やんが言うには、東京はラーメン激戦区らしい。僕はどちらかと言えばうどん派である。親父が四国出身なのもあってか、かなりの頻度でうどんが食卓に出る。



「さっきの話しだけどさ、高橋はマジでいいぞ」


「江戸やんは、あの憎たらしい奴に好かれてるやん」


「誰よ?」

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