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平成初期型!!  作者: 稲田心楽
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4ページ目

 

「誰っすか?」



 太すぎる金ネックレスの彼がリーくんに言った。敬語という事は歳下なのか。いや、それはあり得ない。どう見ても30歳手前である。体格も小太りのお父さんみたいだ。



「誰もくそもあるかいっ! 学校の連れのリーダーや」


「いや、リーダー補佐やから。リーダーはレプ」


「補佐とかいらんやろ!」



 関わってはいけない3人衆が腹を抱えて笑っている。普通の会話を展開しているだけなのに、何故そんなにウケているのか謎だった。



「リーくん、その素敵な方々は?」


「舎弟」


「いや、お父さん混ざってますやん」


「こいつか? こいつは15歳や」



 リーくんはお父さんの坊主頭を撫でながら言った。15歳という事は中3か高1という事になる。リーくんの冗談かと思ったが、おそらく本当だろう。



 お父さんはリーくんにヘッドロックをされている。完全に舎弟だ。他の2人はそれを直立不動で見ていた。僕は、改めてリーくんの凄さというか、本物の暴走族の頭なんだと思った。そして、何故か誇らしく感じた。



「お前ら、近ちゃんにアイスクリーム買ってこい。2分やぞ」


「はっはい!」



 彼らは改造バイクにまたがり、猛ダッシュで走り出した。



「リーくん、マジでカッコいい!」


「そうか? 世間の爪弾きもんやがな」


「そう思ってたけど。でも、カッコいい! ていうか、凄いよ!」



 どんな世界でも1番になった奴を僕は無条件でリスペクトしている。自分は、一生そんな風になる事などないと思っているからだ。まだまだ人生これからだけれど、レプや、リーくんのような求心力は僕にはない。自分にないものを持っている彼等が、羨ましく、ちょっぴり妬ましかった。



「ていうか、マジでこんなとこで何してんねん?」



 僕はリーくんに正直に話した。なんだかとても聞いてもらいたくなったからだ。



「高橋て、結構人気ある奴やんけ。背の高い奴やろ?」


「うん。友達になって欲しいて言われた」


「どういう事やねん。全くそんな空気なかったぞ」


「藤川にバレないようにって言われたからな」


「……。あいつな。もうちょっとマシな奴やったんやけど。色々あってな」

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