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僕等はたわいもない会話で盛り上がった。好きな異性のタイプであったり、好きな食べ物等。合コン中、何度か背後から圧がかかった。彼等はそんな下らない会話はお気に召さないようだった。仕方がないので、強引に際どい質問を彼女達に投げかけてみた。
「好きな体位を知りたい。亜紀ちゃんからどうぞ」
「どした? 近ちゃん、悪いものでも食ったんか?」
亜紀はしどろもどろだったが、恥ずかしそうに答えてくれた。
「……普通のがいいです」
「こら! 亜紀はん、答えんでよろしい。近ちゃんはんの悪ふざけでんがな」
「普通とは?」
僕はさらに突っ込んで聞いた。
「近ちゃんはん、ドSかっ!」
確かに彼の言う通り、僕は“ドS”だ。歴代の彼女にもそう言われてきた。痛めつけたいとかそういう類のものではなく、色んな表情を見たいという欲求がとてつもなく強かった。
「……せっ正常」
「ストップ! 続きは夜の部でやりまひょ。あぶないあぶない」
たては亜紀が答える寸前で強制終了させた。リーくんは斜め向かいにいるたての頭を張り飛ばした。
「もうちょっとやったのに!」
「リーくんはん、ちょっと力抑えなはれ。想像以上に痛いでっせ」
張り飛ばした音がやたらといい響きだったのと、絶妙のツッコミが合間ってみんな爆笑していた。僕は右隣の亜紀の耳元で囁いた。
「案外ノーマルやな」
「もうっ! 近本さんはどうなんですか?」
「亜紀はん、負けてまへんな」
みんなの視線が一斉に僕に向けられた。ここはギャグで乗り切ったほうがいいのか、自身の性癖を真面目に答えれば良いのか、一瞬悩んだが後ろの変態2人の為にも後者を選択する方がいいと判断した。
「僕は、とりあえず放置プレイが好きです」
「例えば?」
「例えとは?」
「せっかく、亜紀はんが聞いてくれてはんのに、例えを用意しときなはれや!」
たての鋭いツッコミのおかげで事なきを得た。何故なら完全に場が凍りついたからだ。真昼間の学校の食堂でする会話ではないが、後ろの彼等の圧がそうさせたのである。僕は一言言ってやろうと思い振り返った。
「おれへんのんかいっ!」