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「ほんまですわ。出来の悪い息子を持ったような感覚で」
「ナターシャよ、君の子供だと、母親は誰だか分からんな」
「ナターシャて。女子の名前ですやん。ブラックジョークもキレてまっせ。近ちゃんはん」
女性陣は大笑いしていた。掴みは満点と言ったところだろう。僕はやたらと後ろから視線を感じていたので振り返った。
「近っ!」
すぐ後ろの席にレプと江戸やんが陣取っていて、ラーメンをすすっていた。
合コンを見たいという彼等は多分変態だろう。しかも真後ろである。よく席を確保出来たなと思ったが、4限目にレプの姿はなかった。おそらく、授業をふけてずっとその席にいたに違いない。どれだけ他人の合コンを見たいんだとツッコミたくなる。
「とりあえず自己紹介しまひょ。昼休みもあっという間に終わりますしね」
たてから自己紹介が始まった。普通に名前を言えばいいのに、『ロバート館林です』で、思いっきりスベっていた。さらにツッコまない僕のせいでスベったとかぬかしていた。この件も、後の反省会の議題にあげよう。
木田由真──のちにリーくんと付き合う女の子。背がすらっと高く、長い黒髪がとても綺麗なスレンダー美人。私服だととても高校2年生には見えないほど大人びている。
三井美香──ロバート館林のお気に入り。この子とお近づきになりたいが為に、居酒屋うちしおに通い、亜紀に媚び諂っていたようだ。たてが言うほど可愛くはないが、好みというのは人それぞれだ。髪の毛はセミロングで茶色。あまり手入れしていないのか、頭のてっぺんは黒く、プリン状態である。ただ、妙な色気はある。そこにやられたんだろう。
そして、僕の右隣には、小柄で巨乳の亜紀がいる。少し前から冬服から夏服へと衣替えしており、男子も女子も、超不評の白色開襟シャツである。胸ポケットに我が校の校章がプリントされており、1年は紺色、2年は赤色、そして最上級生の我々は黄緑色である。亜紀の胸が爆乳なので、菱形の校章が少し広がって見えた。おそらく気のせいだろうと思う。
「それじゃ、乾杯しましょう!」
テーブルにはコンビニのおにぎり、食堂のカレーパン、ポテチ等が雑然と置かれていた。そして食堂の自動販売機で買ったであろう缶ジュースで乾杯した。