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「近ちゃん、それはそうと、このクラスヤンキー風味ばっかりやぞ」
「マジか。またレプと2人ぼっちな感じか。それはそれでええけどな」
360度見渡した──レプの言った通り、お友達になれそうな人が少ないどころか、ほぼいない状態。女子も、もはや、穿かなくてもいいんじゃね? ぐらいの短いスカートと、ちゃんとした紺色のブレザーがあるにもかかわらず、ほぼ私服である。男子はベタな黒の学ランで、僕は今トレンドの短ランと、足首にチャックが付いてあるスキニーパンツ的なズボンでキメていた。レプも同じで、彼などは、左胸ポケットから煙草のボックスがちょっとはみ出していた。
「ブスばっかりやな。ハズレちゃう」
相変わらずはっきりという男だ。そんな彼が僕は大好きだった。
「ていうか、歳上にしか興味ないやろ」
「ないね。今の女、24歳」
どういうルートで知り合うんだと聞きたくなった。普通に過ごしてて、24歳の女と知り合う事などあり得ないだろうと。彼の場合は色々と普通ではないからあり得る話しかもしれないが。それにしても、24歳の女ってどんな感じなんだろう。この間まで高校2年だった我々と付き合う思考回路というか何というか。まぁ、人それぞれではあるけど。
「近ちゃん、女は?」
間違いなく聞かれると思った。進学校でもないこの学校で、進路の事を聞かれる事などほぼ皆無だ。自動的に僕らの関心は、バイトの事か、女の事しかない訳で。僕は、レプの質問に対してどう答えていいかわからなかった。何なら、今置かれている状況を彼にご指導頂きたいぐらいだ。彼なら分かるかもしれない。このラビリンスの攻略法を。
「ちょっと残念な事になっててさ」
「残念な事?」
「かなり長くなる……」
そうレプに言った瞬間にチャイムが鳴った。僕には昔からこういう所がある。間が悪いというか、何というか。逆にベストタイミングの時もあるが、トータルすると、大体バッドタイミングの方が多い。
「わかった。どうせ、今日なんか授業もないし、終わったら例の場所で茶でもシバこう」
「ナツいね。めちゃくちゃナツいんですけど。とりあえず、終わってからよろしく」
「オーケー! 自分の席戻るわ」