表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平成初期型!!  作者: 稲田心楽
16/121

5ページ目

 

 僕等がティッシュ配りをしていたエリアの反対側、北口の方にバーガーショップがある。どの街にもあるチェーン店である。席取りに僕と江戸やんは2階へと向かった。時間帯もあってか、ガラガラに空いていた。というより、1人のお客も見当たらない。僕等は、2階フロアのど真ん中の席に腰を下ろし、レプと李君を待った。



「誰もいないね……」


「江戸やん、今何時?」



 クリーム色の壁に時計が掛けてあったが、あえて江戸やんに聞いた。いつも身につけているシルバーの髑髏ブレスレットと、赤いミサンガの間に、ゴロンとしたいかにもな高級時計がずっと気になっていたからだ。



「もう10時過ぎだよ」


「けっこう時間経ってるな」


「近ちゃん、実はさ……」



『その時計、めっちゃ高そうやな』と言おうとしたが、江戸やんから、昨日、“冷たい彼女”から連絡があったと話してきた。いつもと様子が違ったみたいで気になっているとの事。



「どう思う? 近ちゃん」


「最近、冷たいとか言ってたよな。急に泣かれてもな」



 電話口で号泣されたらしい。『寂しい』とか『会いたい』とかを連発していたようだ。最強の“ネガティブマン”の僕としては、新しい彼氏、あるいは、候補と喧嘩やすれ違いがあったんじゃないかと推測した。当然、頭を抱える江戸やんを目の前にして、それを言う事は出来ないし、定かではないから。




「お待ちどう!」


「めっちゃ店員やる気ない!」


 レプと李君が、トレイいっぱいのハンバーガーとポテト、シェイクを持って席に来た。



「めっちゃ美味そう!」


「とりあえず、ご苦労様! 近本、お前には特に世話なったな。好きなん食べろ」



 レプと江戸やんがうなづいている。僕から選んでくれと言わんばかりに。



「いや、好きなん食べろって言われても、全部ハンバーガーの件」


「ほんとだ。シェイクは味が違うんじゃない?」


 そう言うと、江戸やんはシェイクの色を確認してくれた。


「全部バニラの件」


「全部一緒の方が早いと思ったのに、店員がグズ野郎でさ、ぶっ殺したろかと思った」



 話しによると、真面目に働かない奴は大嫌いとの事。それと、他人に迷惑になる事をする奴は許せないらしい。一応言っておくが、彼は暴走族のリーダーである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ