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平成初期型!!  作者: 稲田心楽
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6ページ目

 

 背後から待ち望んだ声が聞こえた。駐輪場の方から来ると賭けていた事は訂正しようと思う。背後から来たら、末長く一緒にいられるに訂正だ。



「おっおっす。ご機嫌いかが?」


「近本君、今晩は。やっぱり何か面白い」



 真っ白のタイトなTシャツに、スキニータイプのデニムが彩乃の長い足を強調していた。とても美しい。直視出来ないぐらいだ。



「ごめんね。こんな暑い所で待たせて」


「汗だく。でも、彩乃は汗かいてないね」


「いや、めっちゃ汗だくよ。背中とかすごい汗」


 僕は、レジ袋からスポーツドリンクを取り出して彩乃に渡した。



「あんまり冷えてないけど」


「私に? ありがとう。私も買ってきたんだ」



 彩乃は前籠に乗っていた白いトートバックから同じスポーツドリンクを取り出して、僕にくれた。



「奇遇やな。一緒のやつやん」


「あれ? 近本君、好きって言ってなかった?」


「いや、彩乃じゃなかったか? だから買ったんだけど」


「そうなん? 私も同じ理由」



 僕は歯に噛んだ笑顔の彼女を見つめた。胸が苦しくて、溢れでそうな感情を無理矢理押し返した。『愛してる』という台詞がもうそこまで出そうになったが、流石にコンビニの前で言う事ではない。



「ここにいても仕方ないし、場所変えよっか」


「うん。踏み切りの向こうに公園があるけど、そこまで持つかな」


「そこまで持つかな?」


「うん。ちょっとね」


「アイスでも買った?」


「近本君、ちょっと止まってくれる?」


「えっ? うっうん」



 僕は、コンビニの駐輪場に自転車を止めた。



「実はね、近本君に伝えたい事があってさ」


「ちょっちょっと待って! こっちの話しから聞いて欲しい」



 踏み切りの向こうにある公園で告白しようと思っていた。遊んだ事はないけど、何故か気になる公園だ。ブランコとベンチしかないけど、ベンチに座って『愛してる』と言おうと思っていた。だが、彩乃の表情を見ると、今すぐにでも何かを言いたそうな感じだった。



「嫌や。私の話しを先聞いて。近本君の話しはその後で聞かせてもらうから」


「いや、マジで先に言わせて欲しい。お願い」


 彩乃は首を横に振りながら、僕の目の前に立った。




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