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転機

ブックマークありがとうございます!

また何日か空けて申し訳ありませんでした!

今週は執筆の時間が取れそうなので、定期的に投稿したいと思います!


「それで、お前らはいつまでここにいるつもりだ?」


 時刻は午後七時を過ぎた頃。


 耳掻きを終え、まったりした雰囲気になった居間でマホちゃんがそう切り出した。


 ソファでうすらぼんやりとしていたおれはついに来たかと身構える。


 実際、おれも誰一人帰る雰囲気がなかったのでどうしたもんかと思っていたのだ。


「べっつにー? オレらがここに居てなんか悪いんすかー?」


「そうそう。マホちゃんから言われる筋合いないしー。…べ、別にここに居たいってわけじゃないけど」


 クソバカとミキが反抗期ブームでマホちゃんを煽りやがった。


 マホちゃんはそれを見て静かに笑みを浮かべていた。…やべえ、マジギレしてる。クソバカもミキもそれを察したのか、一瞬青い顔をした。


「ん、んだよ。もうちょっとだよ、もうちょっと! な、ミキ?」


「そ、そうそう! ね、カホっ?」


 ビビった連中はマホちゃんの肉親であるカホへと助けを求めた。カホはカホでマホちゃんからの重圧を人一倍察しているだろうに、スマホに目を向けたまま涼しい顔をしている。


「…カホ?」


「んー、もうちょっと待ってねお姉ちゃん。あと少しだから」


 カホはマホちゃんの重圧を無視してスマホをタップし続けている。その強心臓っぷりに俺たちはさらに顔を青くする。


「…なにか待ってるんですか?」


 ぼそり、と大和田さんがつぶやいた。


 …そうだ。この人もおれの影響で人生がおかしな方へ向かい始めてるんだった。はきはきした印象がなく、むしろ今まで空気みたいになっていた。


 九頭身はある見事なプロポーションもこの暗い雰囲気に隠れてまるで印象に残らない。姿勢も猫背に近いせいでソファに埋まってしまったかのようだった。


「お、大和田さん、いいことに気づいた! そう、サプライズがあるんだよ!」


「そ、そうそう! ね、カホ!」


 ここぞとばかりに助け船に乗り込むクソバカ共。大和田さんは若干面倒くさそうな顔をしている。ああ、そういうのも表情に出すようになっちまったか。


「あーあ。やっぱりゲロっちゃった。だから正直に言おうって言ったのに」


 マホはどこか拗ねたように言う。


 クソバカ共はカホの視線から逃れるように目をそらした。


「カホ。説明しろ」


「そう怒んないでよ、お姉ちゃん。どうせ、もう時間だから」


 カホはスマホをテーブルに置き、自然な動作でリモコンを取った。


 液晶に光が点る。


 と同時に、


『お聞きくださいこの歓声をっ! 最年少っ! 史上最年少のダンジョン攻略者が誕生しましたぁっ!』

 

 アナウンサーの絶叫が響き、それを超える歓声と無数の拍手が轟いた。国内外の観光客も、道行く人も、同業者と思しき連中も。全員が画面中央に向かって祝福の声を上げている。


 その中央。


 ダンジョンの入り口んい立つ四人の新米冒険者。


 普段のそれとはまるで違う姿に一瞬誰川からなかった。


 いや、嘘だ。


 ただ目の前の光景を受け入れられなかっただけだ。


 だって、


「どうよ?」


 目の前で不敵に笑う馬鹿。


 得意げな顔のミキと澄まし顔のカホ。


 確かにスキル判定の時点で差をつけられた。明確な才能の差。それは十分に理解していたつもりだった。


 でも、それが勘違いだったと今更思い知らされた。


 ダンジョン攻略者。


 一度でも達成すればそれだけで偉業と称えられるそれを、こいつらは成し遂げたのだ。

 

 その事実が、死ぬほど悔しかった。

読んでいただきありがとうございました!

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