死なばもろともと彼は思った('Д')
更新が大分遅れて申し訳ありませんでした!
どうしてもプライベートが忙しくて更新できませんでしたが、ようやく落ち着いてきたので定期的に更新していきますのでよろしくお願いします!
【ゴブリンキング】
【種族の中で稀に生まれる個体。体格も通常のゴブリンとは一線を画し、個体ごとに特殊な能力を持つ。が、なぜか単体での行動が多く、群を率いることはあまりない。これは集団行動を旨とするゴブリンの習性と反しており、彼らがキングの名を冠する由縁となっている。
王とは孤独なのだ。
それを証明するように彼らは生涯友も、番も持つことがないという】
なぜか、そんなテキストが頭の中に流れた。
「……ぁっ?」
朦朧とした意識の中、かろうじて自分が生きていることだけがわかった。
なにが起きたのか。
顔が異常に熱い。特に鼻がおかしかった。呼吸をしようとしても何かが喉元に落ちてきてうまく空気を吸うこともできない。
それが血だってことに気づいたのは目の前に馬鹿でかい足裏が見えたからだ。
視界はかすんでたのにそれだけは妙にはっきりと認識できた。
それが、ものすごい勢いで迫っていることも。
「っ!」
意識する前に身体が動いた。
転がるようにその場を離れる。その勢いのまま立ち上がろうとしたが、地鳴りのような衝撃に全身が固まった。
やばかった。
あのままぼーっとしていたら、その瞬間に決着が付いていた。硬直した身体を無理矢理動かして起き上がる。
が、膝が笑って、そのまま尻餅をついた。
直後、頭部があったはずの場所を岩みたいな拳が通過した。
風圧だけで全身に鳥肌が立った。
「おしい」
見下ろす視線。
にんまりと歪んだ笑みを浮かべた奴を見て、おれは頭の中が一瞬で沸騰したのを自覚した。
尻餅をついた姿勢のまま、腹に向かって押し出すように蹴りを放つ。
くそが、びくともしねえ…っ!
蹴りを放ったはずのおれのほうが押し返された。
が、距離をとるのが目的だったので好都合だ。そのまま後転の要領で転がって距離をとる。
追撃はなし。
今度こそ立ち上がる事ができた。
「はぁ、はぁ、はぁ、んだよ、はぁ、なめてんのかよ」
鼻が熱い。
鼻血が顎からしたたり落ちているのがわかる。まるで心臓がそこにあるいみたいにどくどくと脈打っている。
血の出しすぎのせいか頭の中は未だにはっきりしない。
目の前の奴はそんなおれが滑稽なのか、楽しげに目をぎらつかせていた。
「いやいや、楽しいのさ、おれは! やっぱ戦はこうでなくちゃ! お前、どんだけタフなんだよ!」
げらげらと不快な笑い声が響く。
くそったれが、何が戦だ。あの体格、あの膂力、あの体力。すべてがルシエルの強化を受けたはずのおれを上回っている。
ステータスで言えばマホ姉ちゃんよりも上じゃねえのか、あれ。
あ、そういえばルシエルを装備したときの数字はわからなかったか。
「はぁ、はぁ、はぁ、くそが…っ!」
なにかしら反論しようと思ったのに言葉が出ない。
そのくせ頭の中は意味のないことばかり考えやがる。ステータスなんざ今はどうでもいい。そんなことよりこの化け物をぶっとばす方法を考えろ…!
体格、筋力、体力。戦闘能力がすべて劣っているおれができることはなんだ…?
「そうだ、その意気だっ! 頼むからすぐに死ぬんじゃねえぞ、おれを楽しませろっ!」
巨体が迫る。
考える暇はない。
とにかく避けることだけを考えて距離をとろうと考えて。
なぜか、さっきのテキストが頭に浮かんだ。
「死ねえ!」
振り下ろされる拳。
巨体から繰り出されるそれは真正面から、おれの顔面へ向けて一直線に伸びてくる。
そう、まっすぐに。
おれはそれに賭けることにした。
己の命を。
読んでいただきありがとうございます!
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