最後の一勝負と彼は思った('Д')
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「はやく起きなさい、このバカっ!」
脳裏に響いた声に一瞬で目が冴えた。
何が起きたのか。
自分の意識が飛んでいたことにはすぐ気づいた。そして、ここがどこでなにをしていたのかについてもすぐ思い出すことができた。
というか、なんだ?
妙に体調が良い。
さっきまでの痛みが嘘みたいに消え、全身の感覚が普段よりも遙かに鋭敏になったような気がした。
「起きたわねっ? よし、そのまま意識を保ってなさい! これならすぐに……えっ?」
ルシエルが戸惑っているのがわかる。
脳裏に響く声音はもちろん、雰囲気がそのままダイレクトに伝わってくるのだ。
おれはとりあえず上半身を起こす。
やっぱりだ、全然痛くない。
「え、なんで? なんで治ってんの、あんた?」
立ち上がっても痛みがない。
軽く動かしてもなんの違和感も覚えなかった。
なにがどーなってるのか、おれ自身がわかってない。ルシエルに状況を説明してもらおうにもルシエルの方がお礼状に困惑しているのだから何ともしようがなかった。
そうだ、スカーレットもいる。彼女に説明してもらおうと思い、呼びかけようとして、
「スカーレットっ?」
傍らに倒れている少女を見つけた。
最初に会った時と同じ姿。
長い銀髪が彼女自身を包み、白い肌がさらに青白くなっているような気がした。
瞼を閉じて苦悶の表情を浮かべ、息を荒くしている。
抱き起こそうと肩に触れ、その熱さに驚いた。
手甲越しでも伝わる熱は明らかに異常だった。
「大丈夫よ。あれよ、ちょっとオーバーヒートを起こしてるだけだから」
「オーバーヒート?」
「そ。限界超えた出力でやっちゃったからね。あのやりとりのどこが良かったのかわかんないけど。心配ないわよ、しばらくすれば治るから」
ルシエルは呆れたような声音を響かせる。
確かに苦しそうにしているが深刻な状態には見えない。むしろ、徐々に呼吸も落ち着いている様にも見えた。
と。
「さて、こっちはこっちでやらなくちゃね」
ルシエルはそう言った。
「なに?」
「見なさい」
手甲が勝手に動いて、ある方向を指さした。
思わず息を飲む。
そこには燃え上がる戦車の車体らしき物体が見えた。らしきとは文字通りの意味で、既に原形はとどめておらず、鉄くずのように散らばっていたからだ。
火の元と思しき部分はエンジンが積んであった場所だろうか。それとも弾薬が詰まっていた場所からもしれない。
勢いよく燃え上がる炎の中に、
「人の子よ、なぜ我らを狙う?」
おれを見つめる影があった。
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