まじでかと彼は思った('Д')
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先に動いたのはおれだった。
伸びた手甲を縮めて飛翔する。さっきまで移動していた場所に残した手甲の一部を利用して、加速する。伸ばせば伸ばすほど加速する特性に限度はないのか、見る見る速度が上がっていく。
過ぎ去る視界。
勝負は一瞬で着ける。
スカーレットの作戦はそれだけのシンプルな代物だった。
ようは最高速度での捨て身の体当たり。
スカーレットの装甲を槍に変化させ、そのまま刺し貫くのだ。
初めて聞いたときはおれに死ねと言っているのかと思ったが、意外におれ好みの作戦だった。変に策を練って面倒な手順を踏むよりも遙かにマシだ。
実際、ここまでうまくいっている。あの戦車を一撃で貫けるまでの威力を出せる速度がどれくらいかわからないが、それについてはルシエルが演算して、
「まずい! 堪えて!」
え?
側頭部に衝撃が走った。
突然横合いからフライパンで叩き付けられたかの様な錯覚を覚え、そのまま視界がぐるぐると回った。
錐揉み状態で宙を飛び、そのまま岩石に衝突しそうになる。が、すぐに手甲が反応した。
そのまま加速を再開する。
おそらくは銃弾。主砲には気を配っていたから側面についてた副砲からの一撃か。
それにしたって今までで一番の衝撃だった。未だに視界がちかちかするし、自分の姿勢すらよくわからかった。
「ハチ、大丈夫? 大丈夫ねっ!」
「しっかりしてください! ハチっ!」
ルシエルとスカーレットの声が響く。返事をしたかったがうまく口が動かない。
視線を戦車に。
ここまで来たんだ、あとはあのデカブツに一発ぶち込むだけ事は足りる。
自分の心配なんざ、後ですればいい。
そう思っていたのに、
「うそ、だろ…おい」
脚が。
戦車から八つ脚が生えていた。
そのまま、あの化け物は跳んだ。




