無意識に動きましたと彼は思った('Д')
遅くなりました。
明日も投稿していくのでよろしくお願いします!
モンスターが日本語をしゃべる。
それについては別に驚かなかった。むしろ、これだけ近代兵器を操っているのだ。コミュニケーション能力があるのは当然だと思っていった。連中は人間とつながっている。
だからこそ銃弾も燃料も手に入れることができる。まさか銃弾もなく銃撃している訳でもなく、燃料もなしに動いているわけじゃないだろう。
どこの誰と結びついているかなんて興味もないが。
驚いたのは、ここまで来て初めて接触をしてきたことだ。
今更いったいなにを考えているのか。
「人の子よ。なぜ我らを狙う?」
ノイズ混じりの声はスピーカーから響いている。戦車にそんな機能があることにも驚いた。
まぁ、質問自体はブラフの可能性もある。時間稼ぎかあるいは動きを止めた瞬間に主砲が火を吹くか。
…とりあえずもう二、三周してから考えることにした。
左右の手甲を伸ばし、戦車の周囲を旋回する。
その間ノイズ混じりの声が発せられることはなかったが、主砲が火を吹くことも、銃撃も、ひき殺そうとするキャタピラ音も発せられなかった。
なにを考えてんだ、こいつ。
「人の子よ。なぜ我らを狙う?」
主砲の射線から外れる位置に着地する。
そのタイミングで、また声が発せられた。
なぜ狙うのか。
ここまで無意味な質問を投げかけられるとは思わなかった。
息を吸って、声を張った。
「決まってんだろ。おまえらがモンスターだからだ。おれは冒険者。出会ったら殺し合うのが当たり前じゃねーか」
ていうか、先に撃ってきたのはおまえ等だろって言いそうになってやめた。
人間砲弾としてつっこんだのはおれの砲が先だったからだ。
侵略者。
そう考えるとルシエルの言葉は紛れもなく正しいと思った。
「我々は共存を目指している。人を襲うつもりはない」
「よく言うぜ! おまえの仲間がおれらを襲ってんじゃねーか! ダンジョンから出てきたおまえ等が町をいくつ壊滅させたと思ってんだ!」
「それは我らとは関係ない」
「はっ、おれらにとっちゃ同じだね! っていうか、そんなことどーでもいいんだよ!」
本当に動きがまるでない。
あれだけ執拗におれを狙ってたくせしやがって、ここまで急に何もしなくなかったのはなぜだ?
別働隊がいるのか?
あの巣から例の歩兵どもが出てきたか?
頭の中でいろんな考えが浮かんでは消えたが、なんだかそのすべてが無駄な気がした。
直感だったが、
「おれが喧嘩を売ってお前らが買った。あとは決着付けるまでやり合うだけだろうがっ!」
この男は逃げない。
なんとなく、そう思ったのだ。
「逃げ回っているだけのくせにか」
「こっからだ。一発で度肝抜いてやるから覚悟しろ!」
「戯れ言を」
緊張感が増していく。
後はどちらが先に動くかだ。
おれが行くか、あっちが行くか。
それはその時にならなきゃわからない。
わずか数秒間の停滞。
なのに、永遠とも思えるような時間だった。
きっかけは自分でもわからない。
お互いの呼吸が合ったのか、合わなかったのか。
とにもかくにも、その時が来た。
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