チートってこういうことを言うんだと彼は思った('Д')
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怖い。
かろうじて理解できたのはそれだけだ。
間断なく響く銃声はそれだけでおれ自身の肉体を硬直させ、コンマで届く銃弾が全身に降り注ぐ。
砂塵が舞い、視界すら奪われた。
永遠に続くかと思われた時間は思いの外あっさりと終わった。
ゆっくりと晴れていく視界。
そこではじめて、おれに雨みたいに銃弾をぶち込んでくれやがったクソ野郎共と目が合った。
はじめて、小憎らしい顔が歪んだ気がした。
「GAAAAAAAAッ!」
再び怒号が響く。
それに呼応するように連中が包囲を放棄した。相変わらず整然とした動きで走り、巣の中へと引き上げていく。
大した徹底ぶりだ。
追いかけようにも殿の何人かが油断なくおれに銃口を向けている。
これは、あれか怪獣になった気分か。
『ちょっと、なに腰抜かしてんの』
ルシエルの呆れたような声が頭の中に直接響いた。
反論しようかと思ったが、実際ミリ単位も動いてくれない。
死んだと思った。
だから、冷静に状況を見ることができたのだ。
漏らさなかったのは奇跡だった。
『どうするんですか、ハチ』
どうしようもねーよ。
そう言いたい気分だったが、それで済むはずもない。そもそも客観的に見て、先に手を出したのはおれの方だ。
マホちゃんに無理矢理襲わされたんだが、そんなの連中から見ればなんの意味もない。
なら、こっちから引くなんてことはあり得ないのだ。喧嘩を売ったのはおれなんだから。
「しっかし、これ、反則じゃねーか?」
『なかったら死んでたわよ、あんた』
ごもっとも。
そうは思いつつ、目の前で銃弾を完璧に防ぎきったそれに目を向けた。
赤と黒が混じった壁。
360度全方位に広がったそれは、所々に隙間がある。光沢を持ったそれは何故かチョコとストロベリーが混じったアイスのようにも見え、今まで見たなによりも不思議なものだった。
ルシエルとスカーレット。
全身を覆っていた装甲がアイスみたいに溶けて、銃弾からおれを守るように覆ったのだ。
まさか、銃弾すら防ぐとは思わなかった。
おれは、はじめて彼女達と契約した意味を理解した。




