こんなんありかと彼は思った('Д')
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こうなることは薄々感じていた。
さっきの会話のやりとりの不穏さも。
マホちゃんがなにかを企む笑みを浮かべていたのも。
そういう流れに乗っかっているのだけはわかっていたのだ。
だからといって納得できるかと言えば、そうでもないのだが。
「ルシエルっ! スカーレットっ!」
叫ぶ。
色々文句を言いたかったが、今はそれどころじゃない。
眼前には隆起した岩石。このままの勢いでは激突は必至。
おれの叫びに彼女達はそれぞれの反応を示した。
ルシエルはおれの肉体を、スカーレットは周囲の岩石を。
それぞれ、おれが無事に着地出来るように最適な働きをした。
すなわち、
「ちょっと、やりすぎじゃないか?」
破壊である。
まるで隕石かなにかが衝突したかのようなクレーターができあがってしまった。爆心地はおれ。周囲の岩石は消し飛び、地面までえぐれている。
おそらくはスカーレットがなにかしたんだろうが、それにしたって加減がなさすぎる。
おれの呼びかけにルシエルが答えた。
『ありゃー。いつの間にか随分懐いちゃったっみたいね。これならいけるでしょ』
「あ? どういう意味だ?」
『こっちの話よ。ねー、スカーレット?』
的を得ていない返答に戸惑うしかない。スカーレットは黙ったままだし。
いつまでもそのままでいるわけにもいかず、さてどうしたもんかと考える。
巣の位置は目で確認できる。
マホちゃんの快投のおかげですぐ近くの場所に着地できたのだ。不思議だったのはこれだけ近づいても穴の奥が見えないことだった。
まるで絵の具で塗ったように不自然な黒。
どうもなにか仕掛けがあるようだった。
『ハチ、来ます』
スカーレットの声。
なにが来るのかなんてのは聞き返す必要もない。
必要なのは準備することだけだ。
おれがすべきことは一つ。
当然、あの巣を破壊することだ。
「GAAAAAAAAAAッ!」
叫び声。
依然聞いたオークよりも声が細い気がした。
絵の具で塗りたくったような黒い影から、ぞろぞろと何かが這い出てきた。
小鬼、ゴブリン。
体長は1メートル弱。
おれでも知ってるメジャーなモンスター。大抵のダンジョンで下層に生息するモンスターである。
単体での脅威はさほどでもない。
けれど、その本当の恐ろしさは繁殖力と適応性にある。
その証拠に、あの穴蔵からは無数のゴブリンが這い出ており、その手には、映画なんかでも見たことのある武器が握られていた。
銃である。
「うっそだろ、おい」
それも軍隊とかで使ってるみたいなやつだった。
最初の雄叫びはなんだったのかと言いたくなるほど整然とした動きでゴブリン共は散開していく。淀みない歩調。クレーターを包囲する動きだと気づいた時には背後までとられていた。
…え、まじで?
早すぎる展開に思考が追いつかない。なんであいつら襲いかかってこねえんだよ。これ、本当にやばい状況じゃないか?
そんなおれの都合を斟酌してくれるはずもなく、
「GAAAAAAAっ!」
再度の怒号の直後、無数の銃声が響いた。




