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ラスボス登場

明日も投下していきます。

今後もよろしくお願いします。

 突然の来訪者は明らかにおかしかった。


 いや、おかしいと言ってもいろいろなタイプが居るが、今回はどうに考えても見た目からおかしい。


 流れるような銀髪と赤い瞳。


 顔立ちも日本人とはかけ離れた、まるで西洋人形のような愛らしさ。服装もそれに準じたのかひらひらとした華やかなドレスを纏い、大きなリボンが頭頂部に乗っている。


 年齢は十歳ぐらい。


 日本人とは違うから、もしかするともっと幼いかもしれない。


 そこまではいい。そんな少女が流ちょうな日本語を話しているのも、まぁ許容範囲だ。


 けれど、彼女が持っているものがまずありなかった。


 槍。


 そうとしか思えない赤い真っ直ぐな棒を持っている。自分よりも遙かにでかい(ていうか、おれの身長よりもっとでかい)それを何でもないように抱えているのが違和感ばりばりだった。


「あの、どちら様ですかっ?」


 再度の問いかけ。


 どこか不安げに上目遣いをする少女になんと答えればいいのかわからなくなった。いや、まぁ確かにおれのが上っぽいが、だがなんだ、ここで名乗るってのはなんだか嫌な気分だ。


「どちら様って、そっちこそなんだよ? なんでこんなとこにいる?」


「ここは私の家だからです!」


「は?」


「だから、私の家なんですっ!」 


 強い口調で言われ、一瞬ひるむ。


 けれど、すぐにその言葉に驚いた。


 自分の家って言ったかこいつ。


 ぶるる、とスマホに振動が走る。


 見れば、


「きたきたきたきた! あんたマジ持ってるわ! ほんとありえない! これ逃がしたら一生後悔するレベル!」


 なんか興奮してんだけど。


 思わずルシエルを見る。相変わらず表情に変化はなかったが、さっきよりも視線が強くなっているのがわかる。


 どんどん送られてくるメッセージになにを返したらいいのか思案していると、


「はやくやっちゃいなさい!」


「それがラスボスよっ!」


 瞬間、全身に寒気が走った。

 

全身から一瞬で冷や汗が吹き出す感覚。これまで感じたことのない強烈な何かが、おれを地面にはいつくばらせた。

 

 直後、頭上で空気が引き裂かれた音が響いた。


「あれ、外しちゃった」

 

 少女の声が響く。

 

見れば赤い槍が壁に突き刺さっている。


 硬い壁をあっさりと突き通した少女は硬い表情のまま、見下ろしてきた。

 

 赤い瞳は冷徹で、その奥に秘められたなにかがおれの全身を硬直させる。

 

 この時点で、おれと少女には明確な差があることを思い知らされる。

 

 そう、生物としての圧倒的な差を本能に刻み込まれたのだ。


「次は当たってね?」


 ゆっくりと槍が引き抜かれていく。


 逃げなければならないのに恐怖と緊張で動かない体。


 とどめにラスボスという言葉に俺自身の思考がパニックを起こしている。 


 ここは私の家、と彼女は言った。


 なるほど、そりゃ女の子の家に無断で入ったら死刑だわ。

 

 そんなどうでもいい言葉を頭の中の誰かがつぶやいた気がした。

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