おれは悪くねえと彼は思った('Д')
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「悪いがそのつもりはねえ」
自分でも驚くほど冷たい声が出た。
頭の中が妙にすっきりして周囲の状況を冷静に見つめることができた。なにより自分の感情をはっきりと自覚できる。
おれは今、心の底からキレている。
「え、なんで…っ?」
カホは怯えるようにおれを見た。
まったく馬鹿臭い。お前の方が圧倒的に強いってどうしてビビるのか。他人からの感情に弱すぎる。末っ子の性なのかほんと昔から甘ったれだ、お前は。
「お前らとは組めねえって言ってんだ。他の誰と組んでもお前らとだけは絶対な」
一言一句はっきりと。
自分の感情を絶対に隠さないように言葉を放つ。
今までやったことがなかったが、思ったよりも旨く言ったみたいだ。
カホも、あの馬鹿も空気が変わった。ミキだけはぐったりとしたままだったが。
「…なんだ、ハチ。やっぱりお前も私とだけ」
「うるせえッ! あんたは黙ってろッ!」
フォローを入れようとしたマホちゃんに釘を打つ。
おれの怒鳴り声に動揺するタマじゃないが、さすがに口を閉ざした。
そうだ、それでいい。
しゃしゃり出てくんじゃねえ。
「カホに八つ当たりしてんじゃねえよ、雑魚野郎。だいたい、全部お前のせいじゃねーか」
馬鹿が馬鹿みたいにおれを舐め腐った言葉を吐いてきた。
最近勇者だなんだと持て囃されて調子に乗ってやがる馬鹿。
この馬鹿と一緒のパーティーだ?
死んでもごめんだね。
「しょうがねーじゃん、お前スキルねえしさ。無能を仲間にしてやるほどおれらだって余裕がねえんだよ」
「はっ、誰が冒険者に誘ってやったと思ってる。この恩知らずが。ダンジョンすら怖がって近寄ろうとしなかった癖しやがって」
「スキルの判定は義務づけられてる。お前が誘わなくたってなってたさ」
「へえ? ならダンジョン恐怖症を治したのは誰だっけ?」
「自分でだ」
「そうだよな。自分でだよな。あれ、そういや、誰がお漏らしパンツを捨てたんだっけ?」
「……っ!」
馬鹿のくせしやがって羞恥心は持っているらしい。
頬を真っ赤にした馬鹿は一瞬だけ険しい表情を浮かべたが、すぐに見下すような笑みを浮かべた。
「はん。どうせ弱小スキルのくせしやがって。なんだよ、ほら、言ってみろよ。あ、無理か。勇者に対抗できるスキルなんてお前がもってるわけねえもんなぁ」
せせら笑うような態度におれは笑みを返した。
頬がひくつくのを自覚したが、敢えて口角を上げる。
そうだ、おれは。
「おれはスキル判定なしだ。だが、お前らにだけは絶対に負けねえ」
幼なじみの意地。
あるいは嫉妬なのかもしれねえ。
けれど、その思いだけは自分の中で絶対のものだった。
だからこいつらと組む気はない。
おれはあくまでこいつらと戦うことを選ぶことにした。




