すべらない話ってどうすりゃいいんだと彼は思った('Д')
ブックマークありがとうございます!
今後は毎日更新を行っていくつもりですので、何卒よろしくお願いします!
空気が凍り付いた。
比喩でもなんでもなく、おれ自身が凍えそうなほどの寒気を感じていた。鳥肌なんて立ちすぎて感覚すらなくなっている。
凄まじい殺気のさらに上、気を抜けば魂までも持って行かれそうなほどの空気の中でおれはただ胸を張った。
小便が漏れなかったのは奇跡だ。
「ただの散歩で、なんでミキちゃんが死にそうになってるの?」
やば、ちょっと出たかも。
言葉の端々に込められた殺意に見栄を張った自分を殺したくなった。
いや、おれはなにも悪くないのだ。
悪くないのにこんなに追いつめられるなんてこんな理不尽なことがあるだろうか。
そう自分自身を鼓舞して向かい合ったが、
「ねぇ、なんで?」
一瞬で心が折れた。
やべえな、こいつら。
なにも悪くないのにおれが悪かったとか言って死にたくなる。
目で殺すなんて言葉は知ってるが、本当に殺せそうなほどやばい視線ってのはこういうもんなのか。
「…知らねえよ。おれはただ聞かれたことに答えただけだ」
「質問だと? ミキが、お前に? 何を聞かれた?」
一言一言が辛い。
この馬鹿、一言一言に力を込めすぎた。本当に一瞬ごとに気が飛びそうになる。
「最近のことだよ。おれがダンジョンに潜ったこととか」
「あ? なんでお前がダンジョンに入れるんだよ?」
「スキルを身につけたからだ。それで、マホちゃんと潜った」
「…なんだ、それ。マジかよ」
あれ?
全身を襲っていた圧力が消えた。
見れば、馬鹿が呆然とした表情を浮かべている。
よっぽど驚いたのか殺気まで消えている。どうやら一発かますことには成功したみたいだ。
そんな腑抜けた表情の相方を押しのけて、カホが言葉を続けた。
「そこでなにがあったの?」
「中層のモンスターに襲われて、マホちゃんと一緒に退治した」
「…頭が痛くなってきた」
カホのやつの殺気も消えた。
やっぱりこの話は面白すぎるらしい。普通はそんなことがあれば死んでるからな。…おれたち以外はマジで死んじまったが。
「それで、マホちゃんの手足が治ったことを伝えたらミキの奴が急にこうなった」
「「は?」」
今度は二人同時に疑問符を浮かべた。
ありえない、と言う表情。
これだけ会話に関心を持たせることが出来るとは思えなかった。この分ならなんとか生き残れそうだと思った時、
「そこまでだ。ハチ、それ以上しゃべるんじゃない」
ようやく援軍が来た。
ただタイミングが悪い。
ようやくこいつらがおれの話を聞く準備が出来たってのに、ここで登場されたら最初からやり直しになっちます。
まぁ。
「休日まで一緒とは仲がいいな。さすが幼馴染だな。だが、ハチは私のなんだ。返してもらうぞ」
そんなことを気にする人じゃないが。
というか、脳みそが更にいかれてないか、あの人。




