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冤罪はこうして生まれるのかと彼は思った('Д')

PV800を越えました!

多くの皆様から読んでいただき、とても嬉しいです。

少しでも面白い物語を書けるように精進していくのでよろしくお願いします!

 君たち、という言葉に一瞬違和感を覚えた。


 が、すぐにそれが意図がある質問の仕方だとわかった。


 おれの秘密なんていくつあるのかわからない。


 今の質問の仕方なら必要な情報を限定して聞き出すことが出来る。


 現におれは彼女の質問の答えが明確に頭の中に浮かんでいたのだ。


 普通ならそれを隠し通せばいいだけの話。


 けれど、それが現状では一番まずい状態だってことが本能的にわかってしまった。


 おれは、今、彼女の質問に答えなければならなくなっている。


「…土曜に、ダンジョンに潜った」


「へぇ、驚いたな。スキルもないのにダンジョンへ行ったんだ。マホちゃんのコネ?」


「…スキルはあったんだ」


「え?」


 うすらぼんやりとした視界の向こうでミキがどんな表情をしているのか気になった。


 いや、そんな場合じゃねえ。


 自分の意識とは関係なく、というかおれの意識の方を遠ざけられて、事実だけをしゃべらされている。


 嫌な予感は的中した。


 こいつは相変わらずおれの嘘を見抜く。


 しかも、それは普通とは違う特殊な方法でだ。


 スキル。


 おれが知るそれとは全く違う能力におれの中身をひっくり返されている。


「スキルが発現したの? え、なんのスキル?」


「…【観察眼】、【飛燕脚】」


「へぇええ。まぁ、名前は格好いいけど、結構普通のスキルっぽいね。じゃ、マホちゃんと行ったのは研修として?」


「…そうだ。そこで、中層のモンスターに襲われた」


「…ちょっとまって。なにその面白すぎる話。いや、いいや。続けて、そこで何かあったの?」


「…ほとんどはマホちゃんが倒した。けど一体だけでかい奴が来て、マホちゃんがやられたんだ。そのせいでフロアにいた人たちが皆殺しにされた」


「なにそれっ? え、皆殺しっ? またちょっと待って。いや、そうか。そうだよね、ここで一番近いのはあそこだし。だから今朝封鎖されてたのか」


 ぶつぶつと呟くミキ。


 朦朧とした意識の中でもこいつが腕を組んで考え込んでいるのが手に取るようにわかった。こいつは頭でっかちな奴なんだ。賢者なんてスキルを持っているくせに、まだまだ青い。


 一番大事なことについては全く触れていないのだから。


「それでも最後はマホちゃんが中層のモンスターをしとめたってわけだ。なるほど。うん、そこはまだ理解できる。いや、ちょっと衝撃的すぎてなにもいえないけれど」


 ミキの奴、動揺しているのか言葉がしどろもどろになっている。


 当たり前か、おれだってこんな面白すぎる話を聞かされればどうすればいいかわからなくなる。


 ただ、さすがなのは、


「それで、マホちゃんがどうして君の存在を独占しようとするかだ。あんな真似までして。その原因は君なんじゃないのかい?」


 そうやって本質をついてくるところだ。


 けれど、やはり青い。


 その質問だけじゃ、結局本当に重要な部分にはまるで触れていないのだから。


「…そうだ。おれがマホちゃんの手足を治したからだ」


「手足? え、マホちゃん怪我してたの?」


「…なかった」


「え?」


「…マホちゃんは、過去の探索で手足を失っていたんだ」


「うそ」


 視界が急速にクリアになった。  


 一瞬立ちくらみが襲ってきたが、すぐに立て直す。


 何が起きたのかわからないが、何かをされたのはわかっている。


「ミキ、お前…っ!」


 ふつふつと怒りがわいてきた。


 意識が朦朧としていたせいで感情まで鈍っていたらしい。間近にあるミキの胸ぐらを掴んでやろうとして、


「うそよ、そんなの…、うそだ…!」


 ミキの顔色が真っ青になった。


 冷や汗が吹き出し、がたがたと肩をふるわせている。


 明らかな異常。


 なにが起きたのかわからなくて、思わず肩を掴んだ。


「お、おい、大丈夫」


「なにしてんだ、てめえっ!」

 

 鋭い怒声が響く。


 それが誰のものかすぐにわかった。


 同時に、最悪のタイミングだということも理解した。


 まったく、なにがどうなってるんだか。


 おれは腹を決めて、現実と向き合うことにした。


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