秘密なんざくさるほどあるわと彼は思った('Д')
今日の夜も投稿します。
「ふーん。大体わかってきた。そういうことだったんだ」
スマホの画面に意識を集中していたおれに、ミキはそんな言葉を投げてきた。目線を合わせて見れば、したり顔でおれを見ている。
その顔がなんだか腹が立った。
「なんだ?」
「いんや。そっかそっか、そうだよねぇ。あんたが教師と禁断の恋とか似合わないと思ってたんだよねぇ」
「やめろ、本気で気持ち悪い」
悪い冗談じみた話だが、おそらくマホちゃんは真剣だ。
冒険者として復帰して欲に目がくらんだんだかなんだかわからないが、少なくともおれを孤立させようとしているのは間違いない。
厄介なのは自分自身も捨て身でやってる点だ。
下手に動くとおれの方が追い込まれる。
「あーあ、そんな言い方、マホちゃんもかわいそうだなぁ。でも、安心したなぁ。まさか幼なじみが駆け落ちとか洒落にならないしさぁ。あ、でもさぁ」
すっと間合いを詰められる。
あまりに自然な動きすぎて意識するのが遅れた。身動ぎ一つで触れそうな距離感。
そんな間近で見た彼女の瞳が、
「なんでマホちゃんはそんなことをしたの? 心当たりはあるんでしょ?」
明らかに異常だった。
おれの全てを見透かそうとする視線。そのくせ視線自体に不快感を覚えないのは何故だろう。
思えば、昔からこいつに隠し事はできなかった。
秘密にしていたことをこいつに暴かれ、他の奴らからからかわれる流れがどれだけ嫌だったか。
最近は顔を合わせること自体なかったせいですっかり忘れていたが、そうだ、思い出した。
こいつは紛れもなくいじめっ子だ。
しかも、後でこっそり飴を寄越していいポジションに治まろうとするやつ。
「なにもねーよ!」
「嘘だね。君の嘘はすぐにわかる」
ひたりとミキの手が胸元に押し当てられた。
ぞっとする。
その感触があまりに柔らかくて、思わず意識の全てをもってかれそうになった。
「私の質問に答えてもらう。なに、嘘はつかなくていいんだ。正直に話すほど楽なことはないだろう?」
声が。
頭の中に直接響く。
何をされているのかわからないが、自分の意識が遠のいていくのだけはわかった。
「それで、君たちは何を隠しているのかな?」




