散歩くらい知り合いと会いたくないってのにと彼は思った('Д')
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「あー、だりぃな」
ぽかぽか陽気の太陽の下、特に行く宛もなく歩く。なんとなく通学路と中心街は避け、ゆったりとした早さで山の方へ向かった。
山といっても近所にある丘みたいな場所だ。
物心ついた時からずっと通い続けて十年。暇な時や一人になりたい時には大抵そこに行っている。
家では大和田さんとマホちゃんが今も駆け引きじみたやりとりを行っている。大和田さんはおれらのことを上に報告しないことを盾にパーティーに混ぜるように行ってきて、マホちゃんはなんとしてもパーティーには入れないと主張していた。
そんな状況で抜け出すことが出来たのは、おれ自身の意見は既に言ったからだ。
別にいいんじゃね?
来るもの拒まず、大和田さんのパーティーへの参加に賛成したのだ。
当然マホちゃんは荒れた。
が、男が一度言ったことを曲げられるわけねえだろと主張しておれはあの空間から抜け出すことに成功した。
逃げ切ったとも言う。
「あんなくっだらねえことによくエネルギー使えるもんだ」
一人ごちる。
ぶっちゃけ誰がパーティーに入ったってかまわない。おれが一番の足手まといなんだから。少なくともおれよりはマシな働きをしてくれるだろう。
「…しっかし、マジでどうすっかな」
空はそこそこ快晴、風もそこそこ吹いていて、周囲もそれなりに静かだ。
どれもそこそこだったが、不思議と今の気分と随分とマッチしている。
ここ数日間でおれの周囲は劇的に変わったと言っていい。
もちろん良い方に。
冒険者になることも出来そうだし、しかも、それなりに活躍もできる目処も立った。
…それが自力でないのは不満だったが、そんな贅沢を言う立場じゃないこともわかっている。
はじめは箸にも棒に触れない存在だった。今もそう変わらないが、それでもまともなレベルにはなったとは思う。
だからこそ、どうにも気持ちが悪い。
「ああ、そうか。だからか」
そのアンバランスさが気持ち悪いのか。
どん底から立ち直ったはずなのに自分で達成した手応えがない。
まるで自信がつかない。
そんな状況でどうやってさらに上を目指すことができるってんだ。
「…ん?」
丘の頂上が見えてきた。
山道というにはしっかりと整備された舗装路の先、そこに抱き合っている連中がいた。
カップルが来るような場所でもなし、いちゃつくというにはどこか静かすぎる。
なんか変だなと思って目を凝らして、
「げっ」
思わず唸った。
そこに、今最も顔を合わせたくない連中のナンバーワンとツーがいた。
思い出すのは基地外染みたラインの件数とただ一言でおれを拒絶した奴。
なんでこんなとこにいるのかわからないが、見つからないように逃げなければ。
そう思って踵を返すと、
「なにしてんの?」
まったく関係ない奴に出会った。




