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愛は人を狂わすものと彼は確信した('Д')

見ていただきありがとうございます!

今日は夜も投稿出来そうなので何卒よろしくお願いします!



「愛、ですか? それは具体的にどういうものですか?」


「愛とは愛だ。ハチが私のことを思う故に愛があり、私がハチのことを思うことこそ愛だ。愛が全てを変えるんだ」


 愛宣言の後、洗い場から戻ってきたマホちゃんはそう言っておれの隣に座った。


 何故か腕を絡めて。


 流れるような動作に反抗する暇も逃れる暇もなく、おれはマホちゃんの発言が空耳かなにかだと思うことで現実逃避していた。


 すげーな、愛。


「なるほど、愛ですか」


「そうだ。だからお前にはなんの関係もない。大人しく帰って書類の山を片づけるんだな。残業なんてしなくて済むようにな」


 指まで絡めようとするのでそれとなく逃げようとする。が、腕力が違いすぎた。万力みたいな力で手をつかみ上げられる。


「ご心配いただきありあがとうございます。あの、八郎様?」


 はじめてちゃんと名前で呼ばれた。しかも様付で。


 それが少し新鮮だったので、おれは素直に「はい?」と返事をした。


「彼女、ここまで脳味噌が茹だっていましたっけ? なんだか明らかにキャラが違うというか錯乱しているんですけど」


「おれが聞きたいです」


「ふん、愛に目覚めたのだ」


「ちょ、マホちゃん! 痛い痛い痛い痛い…っ!」


 万力の力を越えて手がつぶれそうになる。マホちゃんは一瞬だけをおれを睨んで大和田さんに笑顔を向けている。


 …なんだ、今のリアクション。


 あれか、おれが大和田さんとしゃべるなってことか?


「とにかく、ハチの愛がお前に届くことはない。だからハチのスキルがなんであろうとお前には関係ない」


「それはないでしょう。私は貴方の頼みだから無茶をしているというのに。本当なら、このまま連行するところなんですよ」


「それをしたら私が黙っていないぞ? 私を敵に回すつもりか?」


「……本当にどうしたんですか? 貴方、そんな大胆に交渉する方じゃなかったはずなのに」


 大和田さんは心底不思議そうに首を傾げている。


 いや、おれですら困惑していた。


 マホちゃんってここまで面白い人間だっただろうか。いくらなんでもありえないレベルで人格が変わっている。


 なにかあったっけ、と考えて思わず頭を抱えたくなった。


 スキル・改。


 デメリットがあるとルシエルは言っていた。そのデメリットがこれなのか?


「そうだ、大和田さん!」


「なんでしょう?」


「あの、おれの武器ってどうなったんですか?」


 みしりと手の骨が悲鳴を上げた。


 痛い。が、ここで止まるわけにはいかない。


 マホちゃんはどこかあいつらを遠ざけようとしている節がある。ここまで全く話題に出さないし、おれが名前を言っただけで不快感を露わにしていた。


 けれど、あいつらがいなければおれは冒険者として力を発揮できない。どころか自分のスキルについても知る術がないのだ。


 なにより、今のマホちゃんの状況を正確に知るためにもあいつ等の協力は不可欠である。


 だから、そんな目で見ないでくれマホちゃん。


 ぶっちゃけ、今まで見たことないくらい激怒しなくてもいいんだよ、マホちゃん。


「ああ、そのことでしたら」


 そういって、大和田さんは胸元に手を入れた。


 胸元に手を入れた。


 あえて意識しなかったが、大和田さんはガタイが言い分スタイルも日本人離れしている。具体的に言えば特定の部位が突き出し、特定の部位がくびれて、また特定の部分が大きい。


 その豊満な肉の間に手を入れるもんだから、自然と全神経が集中するのも当然と言える。


 というかやばい。


 あとちょっとで見えそう…!


「ハチ」 


 血の気が引いた。


 マホちゃんが笑みを浮かべている。


 いや、なんで浮気を見られた彼氏みたいな反応になるのが意味不明だったが、それでも心底全身が冷え切った。


 マホちゃんは耳元に近づいてきて、


「後で見せてやるから見るな。わかったな?」


 そう死刑宣告をしてきた。


 マホちゃんの言うとおりにしなければ地獄、言うことを聞いても地獄。


 おれはルシエルとスカーレットを一刻も早く取り返すと誓った。


 全部やばすぎる。


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