愛ってなんだと彼は思った('Д')
二日も更新遅れて申し訳ありません。
明日も更新予定ですので何卒よろしくお願いします!
「…粗茶ですが」
「あ、結構です。私、薬はだめなんで」
「は?」
「私、鼻が利くんです。混ざってますよね、色々と」
ばちりと火花が散った…気がする。
初っぱなからあり得ないほど険悪なやりとり。あまりの雰囲気の悪さにどん引きしつつ、おれは彼女の対面に座っていた。
夢で見た彼女。
あの時は尋問だけで人間らしい会話をしなかった。しかも夢の時とは違い、そのガタイのでかさに目がいってしまう。威圧感がハンパない。それは彼女がとびきりの美人であることも関係している筈だ。
しばらくに睨み合った後、マホちゃんは心底不快そうに湯呑みを洗い場に持って行った。
「まだ名前を教えていませんでしたね」
にっこりと笑みを浮かべて彼女は言う。
夢の中でも一度も見たことない表情に何故か背筋が寒くなった。
うん、たぶんこの直感は間違っていない。あれだ、笑みとは本来攻撃的なものである云々を見事に表現している。
「私は大和田恵美と申します。まだ大学生ですが、実家の手伝いで巫女をやってます。今日はその件でお伺いしました」
実家の手伝いで巫女。
なんというパワーワード。ここまでわかりやすい説明は今まで聞いたことがない。
格好の時点で予測できたが、まさかすぐに訪ねてこれるほどの近さだったとは。
「つまり、ダンジョンの件ですか?」
「いえ、あなたのスキルの件です」
とぼけたつもりが強打で打ち返された。
あまりに直球過ぎてなんて答えたらいいのか、一瞬わからなくなった。
そんなおれをみて、彼女は益々笑みを深くする。
「ダンジョンのお話は夢の中で十分に聞かせていただきましたから大丈夫です。ええ、本当ならこのお話も夢の中で聞かせて頂きたかったのですが、権限がなくて」
「権限?」
「いてもたってもいられず来ちゃいました。だって、スキルを他人に与えることができるなんて、聞いたこともありませんから」
あ、この女、話を聞かない系だ。
にっこりとした笑みは親愛の証のつもりなんだろう。愛想笑いとは違う。証拠に目の奥が明らかにおかしい。
なんと言えばいいんだろう。敵視しているわけでも嫌悪しているわけでもなく、悪感情は全く見えない。
かといって、友好的かと言えばそうでもない。
期待と不安が半分。
そのくせ、どこか必死さのようなものが見える。
そこまで考えて、なんだか随分と上から目線で見ていることに気づく。
ただ、実際そう見えた。
何故かわからないが、それが間違っていない確信もあった。
なんだ、一体?
「それで、あなたはどんなスキルを他人に譲渡できるのですか? 貴方のスキルを他人に? それとも他人のスキルを誰かに? 譲渡の方法は? 使用回数は? 一度使うと出来なくなるなんてこともあるんですか?」
ああ、どうやらおれの直感は随分冴えているらしい。
矢継ぎ早の質問といい、食い付きの良すぎる態度といい。
彼女が必死なのは間違いない。けれど、それがどうにも不気味過ぎてどう答えたらいいのかわからなかった。いや、おれ自身よくわかってないってのが一番あるんだけど。
と。
「愛だ」
突然、そんな横やりがはいった。
「は?」
「愛がなければできないんだ」
ドヤ顔でマホちゃんは言う。
何故かおれにウインクしてきたが、突然の展開に疲れすぎて何もいえなくなった。
愛ってなんだ。




