間が悪い奴が多すぎると彼は思った('Д')
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「パーティーって…え、マジで?」
思わず聞き返す。
マホちゃんは一杯目の皿を片づけながら、「もちろんだ」と言った。
「申請は私の方でやっておく。なに、これでも元冒険者だ。それなりの伝手はある」
どうなってんだ、一体?
予想外の言葉にスプーンを落としそうになる。確かに冒険者としての研修を受けるためにあのダンジョンに向かったが、結果は文句なしに最悪だった。
むしろ今の今までそんなことを忘れてたくらいである。いや、もちろん冒険者失格とか言われてもどんな手を使っても抜け道を見つけるつもりだったが、それにしたってこれは信じられない。
どう考えても裏がある。
「なんだ、嫌なのか?」
マホちゃんは何故かおれを睨んだ。
いや、別に文句はないが単純に信じられないだけです。
「いや、ありがたいけど。でも、なんで?」
「命を救ってもらった。なにより、お前のおかげで私はもう一度ダンジョンに潜ることが出来る。理由は十分じゃないか?」
何を当然のことを、と言わんばかりにマホちゃんは笑った。
なんて男らしい。
義理やら恩義と言えばいいのか。おれはただ必死になってただけっだってのに。
「これからは二人で行くぞ。そのために体力はしっかりつけないとな」
ほれ、とマホちゃんは鍋の中に入ってるカレーを盛ってきた。そのままがつがつと平らげる。さすがに五杯目はきついかと思ったが、まるで問題なく胃袋に収まった。
「おかわり」
「もうないよ。ふふ、どうやら私は心配性過ぎたみたいだ」
「なに笑ってんだよ?」
「気にするな」
「?」
愉快そうに笑うマホちゃん。
おれはスプーンでわずかに残ったカレーを掬いながら、その笑みの意味を考える。
わかんね。
三秒で見切って水を飲み干した。
※
「私がいつ冒険者になったか? そうだな、今のお前の年にはダンジョンに入っていたぞ。お前や夏帆が影響を受けると悪いからと両親から口止めされていただがな」
食器を片づけ、小休止。
皿洗いを手伝ったお礼としてコーヒーを入れてもらってから、おれはマホちゃんに質問をぶつけた。
これまで一度も触れたことのない話題。
幼なじみあるあるで疎遠になっていた時期のことだ。
「でも新聞になったとか聞いたぜ?」
「はっ、隅っこの方にな。それに私はパーティーの中心だったわけじゃない。年齢が若かったから注目されたこともあったがこれからという時に手足を失った」
四肢の欠損。
おれは恥ずかしながら全く気づかなかった。
「四肢についてはダンジョンの秘宝を譲ってもらった。銃もな。当時は手切れ金に渡された程度に考えていたが、よくよく考えれば破格の待遇だった。当時のパーティーの奴らには申し訳ないことをしたよ」
「それで引退?」
「日常生活には問題ないがダンジョンの探索には耐えられない。そういう秘宝だった。一般人から見れば破格の代物だが、私達からすれば失格の烙印そのものさ」
そこからの顛末はおれも知っている通りだ。
冒険者としての実績を活かして教育者を目指すことになる。
教育実習を経て、教員免許の資格試験を受け、おれたちの担任になった。
そして、もう一度冒険者を志すことを決めたのだ。
「本当に信じられないよ。自分の足で立って、自分の手でなんだって出来るんだ。その上、相棒ができた」
「相棒って」
「嫌か?」
鋭い視線に貫かれる。
いや、もちろんそんなことはないかったが、なんというか、時折マホちゃんの言い回しがおかしい気がする。
あと態度も。
今みたいにすごくおっかなくなるし。
「いや、おれなんかにつとまるかなって」
「なんだ、自信がないのか? 私にあれだけ大見得切ったじゃないか」
「あれは、どうにかしてダンジョンに潜りたかったからで」
「それに見込みがある。自信を持てよ、ハチ」
そこまで言われれば悪い気はしない。
おれはマホちゃんによろしくと言うつもりで手を差しだそうとして。
ぴんぽーん、と。
チャイムが鳴った。




