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二度寝って身体に悪いらしーぜと彼は思った('Д')

今日は投下が遅くなりました。

夜にも投下するので何卒よろしくお願いします!


「警察に事情を説明したが、しばらくは自宅で待機しておくように言われたよ。外には見張りもいる」


 目玉焼きの目玉を割って、醤油と胡椒をかけて、さぁご飯へといったところでマホちゃんはそう言った。


 思わず手が止まる。


 見張りって何だよ。


 ていうか、ここおれん家だよな。マホちゃんの自宅じゃなくね?


「なんでおれ達が監視されんの?」


「仕方がないだろう? あのフロアにいた人間はほぼ全滅だ。私とお前と少女。あと何人かが生き残ったらしいが、入院してないのは私たちだけだ。何が起きたのか、それすら把握するのが難しいんだろう」


 昨夜のことを思い出す。


 破壊された建物と無数の死体。たった一匹の化け物にあの場にいた数百人の人間が殺された。


 言葉にするのは簡単だけど、あの光景は実際に目にした人間にしかわからない。


 だからこそ、おれも泥のように眠ったのだ。


 決して忘れないように。


「それに私たちだって極めつけの厄介者だ。四肢を無くして引退した元冒険者と冒険者になってすらいない学生。そんな連中が中層のオークを、しかも障壁を持ったユニークモンスターを討伐したんだ。きな臭さを感じるのも当然だろうな」


「ユニークモンスター?」


「名前付き。お尋ね者だ。あの化け物は中層に突入した完全武装の陸自を一掃したこともあるらしい。ダンジョン内では絶対に遭遇してはいけないモンスターの一匹だったとさ」


 そんなもんがいきなり現れて、あんな状況に追い込まれた。


 そりゃあれだけのことが起こってもおかしくない。


 そこまで考えて、そんな状況を生みだしたクソガキを思い出した。


「あいつは?」


「…誰のことだ」


 マホちゃんの雰囲気が一気に重くなった。


 どうやらマホちゃんも思うところがあるらしい。おれは「クソガキ」とだけ言った。


「ああ、あの娘か」


 マホちゃんは対面に座って箸で目玉焼きをつっついている。割れるか割れないか。その絶妙なラインで食い物を弄くっている。


 今まで見たことのない仕草に違和感を覚えたが、突っ込む前にマホちゃんが言葉を発した。


「あの娘が気になるのか?」


「一発ぶん殴ってやらなきゃ気が済まねえ」


「なるほど。だが、小さい娘に関心を向けるのは気に食わんな」


 ……ん?


 なんだか言い回しがおかしい気がする。


 空気までおかしくなったような気がして、とりあえず卵の黄身を白米にかけた。


「とにかく、あのクソガキに詳しいことを聞かなきゃはじまんねえ。ていうか、ルシエル達はどこに」


 ぶしゅっと効果音が響いたような気がした。


 ただマホちゃんが目玉焼きの黄身を割っただけだ。なのに、何故か目をそらせなかった。


「どうした、食べないのか?」


 マホちゃんの笑顔が怖い。


 ていうか、マホちゃんのこんな笑顔を見たのは初めてだった。


 ごはんをかき込む。インスタント味汁に口を付け、ベーコンをぱくついた。


 旨い。


 旨いがなんだか背中から汗が止まらない。


 今まで感じたことのない重圧がマホちゃんから発せられている気がする。


「あの娘共はここにはいない。ダンジョン庁の連中が喜んで引き取っていったよ」


「はぁっ?」


 ぎょっとする。


 マホちゃんはどこか楽しそうにおれを見ている。


「まぁ、私にとっても命の恩人だからな。私の友人に任せた。なに、悪い様にはしないさ」


 おかずはなくなり、白米を平らげ、味噌汁も啜った。


 腹がいっぱいになったのにちっともいい気分にならない。


 目の前でおれを見るマホちゃんが、ただ不気味だった。


「お前には感謝してもしたりない。昨日の晩は命を救われた上、まさか、こうしてまた自分の手足で生きられるようにもなるとは思っていなかった。本当に感謝してる。ただな」

 

「お前はもう少し自分のしていることの意味を知るべきだ。少し、頭を冷やすんだな」


 視界が歪む。


 まるでカメラのピントが歪むように目が霞み、ほほに硬い感触があった。


 頭の中がぐちゃぐちゃになって、なにが起きたのかもわからなかった。

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