「誰だ、こいつ」とおれは思った('Д')
読んでいただきありがとうございます!
明日も投下するのでよろしくお願いします!
今回から新章突入です!
「もう一度話を聞かせてください。よろしいですか?」
うんざりするような問いかけから始まった言葉はもう何度聞いたのかもわからない。
ドラマみたいに怒鳴り散らされなかったが、重箱の隅をつつくような問い掛けを何度も何度も繰り換えされてありもしないことを何度かしゃべったこともあった。
けれど嘘はすぐばれた。
だったらこんなに繰り返すんじゃねえ。
そう言いたくもなったし、近いことは言ったはずだがそいつはおれを拘束して何度も何度も繰り返し同じような質問をしてくる。
なにが目的なのか。
何度も対面で話しても全く理解できなかった。
「…どうぞ」
「ありがとうございます」
白々しすぎて笑いそうになった。無駄に礼儀正しく、無駄に丁寧。そういうのも度が過ぎるとあきれるほかないことを初めて知った。
そんなおれの思いを知ってか知らずか、
「それでは、小白川ダンジョンでの事件についてお聞きします。あなたは、神と出会い、何を望みましたか?」
彼女はそう言って、おれを見た。
真っ赤に染まった赤い瞳で。
※
「…ふぁあああ」
あくびを一つ。
ベッドから起きあがり、再び倒れる前に立ち上がった。
時刻は朝六時。
昨日の昼から泥のように眠って、半日以上眠っていたらしい。
昨日は大変だった。
ダンジョンの入り口から巨大な岩が消え、地上との連絡がまともにとれるようになってから、マホちゃんは警察へと通報した。
ダンジョンを警備するために駐在していた自衛隊員が突入し、おれたちは保護という形でてダンジョンを脱出することができた。
おれはそのまま自宅へ送られたが、マホちゃんは事情を説明するために残ると言っていた、と思う。正直、脱出した時点で気が抜けてほぼ寝てたのだ。
記憶が曖昧すぎて、初めてはなんでベッドで寝てるのかわからなかったくらいである。
「腹、減ったな」
ぼんやりとした頭で献立を考える。
確か食パンとバターがあった筈だ。パンを焼いて、塗ればいい。それで足りなければコンビニにでも行こう。
そう思い、一階の台所へと向かった。
「おはよう。早いな」
ふわりと良い香り。
ベーコンと卵を焼く音が小気味よく響き、トースターのタイマーがタイミングよく鳴った。
台所に立った彼女は視線だけをおれに向け、一瞬だけ微笑むとフライパンへと視線を戻した。
誰だ、この人。
「…マホちゃん?」
「ん? ああ、警察への説明ならもう終わった。腹が減ったかもと思ってな。朝飯は食べるだろう?」
「…はい」
「座ってろ。すぐに出来る」
言われるままに椅子に座る。
背中姿しか見えないが、紛れもなくマホちゃんだ。ジーパンとTシャツにエプロン。おれとしては今まで見た中で一番あり得ない姿。
しかも妙に手際がいい。
なんだ、これは。
「…あれ、おれ鍵かけなかったっけ?」
我ながらどうでもいいことをつぶやいた。どうでも良すぎてマホちゃんも何も言わない。
どこからつっこんでいいのかわからず、おれは結局黙ってることにした。
ほら、黙ってれば飯食えるし。余計なことは食ってから考えよう。




