開幕
今回は短めです。
続きは明日の朝に投稿します。
悲鳴は徐々に弱まっている。
実際に見ていて驚いたが、マホちゃんが言うようにオークは直接的な行為を行っていなかった。
自分の脂肪を使い、丁寧に丁寧に少女を押さえ込んでいる。
…脂肪、でいいんだよな?
汗と言うよりも粘液に似た液体が噴き出し、少女がどろどろになっている。漫画か何かならエロい一枚絵になってそうな状況だが、どう見たって単なるグロ画像だ。
どろどろの粘液の不快感、おそらくは体臭まで苛烈なんだろう。さっきみた絶望そのものの表情よりもさらにひどい表情で少女は泣き叫び続けている。
「…おい、マジかよ」
思わずつぶやいた。
てっきり、すぐに殺されたのだとばかり思っていた。
よっぽどあの化け物に気に入られたんだろう、気の毒に。そう思えば化け物の仕草もどこか優しげに見えるから不思議だ。彼女にとっては地獄だろうが。
けど、これなら文句なしだ。
あの化け物へのけじめをつけられる上に、俺自身のけじめをつけられる。
「ルシエル」
拳に意識を集中させる。
そこから腕を伝って、全身への流れを意識する。
…なんてそれっぽいことを言ったが正直よくわからない。けれど、ルシエルはそういう感覚をおれに教え込んだ。
この感覚は、彼女自身の追体験であるらしい。
彼女自身の動きを真似て、彼女を使って、彼女以上の破壊力を発揮する。
今回はもう一人。
二倍の破壊力であの化け物を打ち倒す。
「スカーレット」
熱い脈動が拳から全身へと駆けめぐる。
苦しい。
今まで感じたことのない熱量がどんどん増していく。
ここからは一発勝負。
あの化け物を殺すため、おれは全力で自分自身をだまさなければならない。
眼前の光景に呼吸を合わせ、おれは全身の熱量を解き放った。




