いざダンジョンへⅥ
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「なに他人の真似してんのよ、このちびっ娘ー!」
左手の指輪が猛烈に震えたと思った瞬間、ルシエルが少女に向かって跳び蹴りをかました。
そう、実に見事な跳び蹴りだった。
顔面に突き刺さった両足も、そこに至るまでの放物線すらも見事過ぎて言葉が出ない。
吹き飛ばされた少女が、何故か消えた瞬間もしっかりとこの目で捉えた。
…いや、マジでコマ落ちみたいに消えたのだ。
「突然何をする! ワシでなければ死んでいたぞ!」
また、声が降ってきた。
見上げると同時に彼女が降ってくる。
さっきよりも遥かに勢いよく降りて来た少女は、そう言ってルシエルをにらみつける。
怪我はしていないようだったが、涙目になって声が震えている。
いや、そりゃそうか。
「うっさい小娘! あんた後から出てきたくせに図々しいのよ!」
「小娘じゃと! だまれ、貴様ら人間…いや、違う? そうか、貴様ワシと同類じゃなっ? だから変じゃったのか!」
「変なのはあんたの方よ!」
「なんじゃと、この年増!」
「あんたに言われたくないわよ、のじゃロリ! 見た目詐欺! あんた数百年じゃきかないくらい生きてんでしょ!」
「き、貴様に言われとうないわ!」
今にも殴りかからんばかりにヒートアップする両者。
なかなか迫力のある光景だったが、当事者としては馬鹿馬鹿しすぎてとっと立ち去りたい気分だった。
「年増の嫉妬は醜いですね」
いつの間にか指輪から出てきたスカーレットが呟いた。左腕に胸を押し当てるのはやめてほしい。年増だなんだのどうでもいい言葉は聞き流す。
さて、どうしよう。
他人事のように考えながら、マホ姉ちゃんから迸る殺気を無視する。
うん、わかってる。
どう考えても誤魔化すのは無理だ。
「ハチ」
「はい」
「今日は実習はなしだ。詳しく話を聞かせてもらうぞ」
「はい」
「それと」
「私はまだ二十代だ。年増じゃないからな」
いいな、とマホちゃんは念を押してきた。
十分おばちゃんだろ、と思ったが黙っておく。下手にその手の話題に触れるとどんな報復が待ってるかわからないからだ。
二十歳になったときにおばちゃんと言ったときは一週間もの間パシリとして日本列島周回の旅に連れ去られた。
いや、まぁ、実際楽しかったがそれ以上に疲れ果てた記憶がある。車内で丸一日二人きりとか話のネタもなくなるし、寝そうになると舌打ちされるし。どんだけ気を使ったことか。
とにもかくにも、こうしておれの記念すべきダンジョン初潜入はおじゃんになったのだった、ちゃんちゃん。




