いざダンジョンへⅤ
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今後も投下していくのでうよろしくお願いします!
降ってきたってのは文字通りの意味で、声は頭上から聞こえた。
見上げて驚いた。
暗くて何も見えない。
周囲の光景ははっきりと見えるのに、頭上だけは真っ黒で何も見えないのだ。
その不自然さが妙に浮いていて、何ともいえない雰囲気を醸し出している。
不気味なのに、どこかほっとするというかなんというか。
暖かみのある黒さってのをはじめて見た気がする。
「んふふふ、なんじゃ。ワシの威容に驚いて言葉もないか。まぁ、無理もないがな! がな!」
がはははは、と馬鹿みたいな笑い声が響く。
言っていることは妙に偉そうと言うか馬鹿丸出しというか、関わりたくないタイプの人格(?)としか思えなかったが、そのくせどこか憎めない雰囲気もある。
なによりも、その声が。
「ひれ伏すがいい、人の子よ。我らは遙か昔からそなたらを見守ってきた。そなたらの成長こそが我らの悲願、我らの希望。これからは貴様の成長を見守るためにワシ自らが貴様を導こう」
にょっきと。
足が出てきた。
なんの前触れもなく突然できたそれがゆっくりと下に降りてくる。足先から足首、膝、太股と全体が徐々に露わになっていく。
「さぁ、その矮小な存在を自覚し、我をあがめ奉れ。さすれば、貴様を至高の存在の一端として連なることを許してやる!」
ゆっくりと宙から現れた彼女は、おれを見上げてそういった。
白い着物を纏ったおかっぱ少女。
おれよりも頭二つ分は小さい彼女は、真っ平の胸を張っている。
そう、こんな訳が分からない言動に腹が立たなかったのがその声があまりに子供っぽかったからだ。
両手を腰に当て、不敵な笑みを浮かべる彼女を前に、おれはどう対処すればいいのか頭を抱えたくなった。
最近こんなんばっかだな、と他人事のように思った。
「なんじゃ? このプリチーな姿に見とれておるのか、まったくしょうがないのぉ」
ちげーよ。
やれやれと肩を竦める少女の頭をひっぱたきたくなったが、我慢する。こんなことで怒っても仕方がない。
それにさっきの登場からしてこのクソガキはただのクソガキではないはずだ。左手の指輪に意識を向ける。おそらくは彼女達と同じ存在だろう。
『ちょっと、あたしはあそこまで馬鹿っぽくないわよ』
『私もです。少なくとも、今は大人のレディーです』
頭の中に直接声が響く。
意思疎通は問題なく取れるようだ。これなら襲われてもすぐに対応できるはずだ。
これまでの経験からすぐに襲われるかもと危惧していたが、まぁ、そうはならないだろう。
そんな風に考えていると、
「ん? お主、なんか変じゃな」
くりくりと大きな瞳を細めて幼女はおれを睨みつけて来た。
その仕草もどこか愛らしいと感じるのがなんとも言えなくなった。
「んー、まぁいいか」
「さて、貴様の試練だが…わしと一緒にダンジョンマスターを目指すのじゃ!」
あー、と全身に脱力感が広がった。
なんだろ、最近流行ってんのかなダンジョンマスター。




