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いざダンジョンへⅢ

しばらく休ませて頂きました。

今日からまた再開していきますのでよろしくお願いします!

「…すっげえ」


 天を仰ぐ。


 頭上に見えるのは快晴の空。強い日差しに思わず手を翳す。穏やかな風が頬を撫で、運ばれてきたいいにおいに驚いた。


 視線を正面に戻せば、いくつもの建築物が建ち並ぶ。和風なものから洋風なもの、モダンな雰囲気の建物まで大小さまざま。


 そのほとんどが飲食店で、近づくにつれて美味そうなにおいが強くなる。店の前に出来た行列が長すぎて近づくことも出来なかったが、それだけの価値は間違いなくあるはずだ。


 あそこで出すのはダンジョンで採れた食材を中心とした料理。いわゆるモンスター食の店なのだから。


「ハチ、なにしてる?」


 マホちゃんがおれの腕を引っ張った。


 そこではじめて立ち止まっていたことに気付いた。


「あ、ごめん…なさい」


「食い意地があるのは結構だが、実習が終わってからだ。昼飯くらいは奢ってやるから楽しみにしてろ」


「マジで? よっしゃあ!」


「その代わり実習は真面目にやるんだぞ」


 ふふん、と得意げな顔をするマホちゃん。


 社会人になってからよく奢ってくれるんだが、さすがに教え子相手に得意げになるのはどうなんだろう。まぁ、マホちゃんはグルメなので外すことはないから全然いいのだが。


 そんな無駄話をしながら、ようやく目的地に着いた。


「ここが冒険者ギルドだ」


 ばかでかい建物だった。


 木造で、一見すると神社のそれに近い。


 数十メートルはあろうかと言う巨大な鳥居が入り口に陣取り、その向こうにある本殿は数万人が収容できる。


 冗談のような規模だが、国内のダンジョンにはこれがどこにでも存在する。規模や外観はほぼ同じ。それを冒険者ギルドなんて呼んでる時点で違和感があるが、実際、この建物だけは違和感のかたまりなのだ。


 なにせ、これはダンジョンが発見された当初から現在までずっと存在しているからだ。


 建築物ではなく、ダンジョンの一部なのだ。


「…すげえ」


「ネットで見るのと実物は違うだろう?」


「ああ。なんつーか、すげえ」


「そうか」


 見れば見るほどすごい。


 スケールが違いすぎるのに、威圧感よりもどこか暖かな雰囲気がある。


 石畳の階段を上り、鳥居を潜る。


 マホちゃんはその足で社務所へと向かった。うしろをついて行く。


 おれらの他にも同じように社務所に向かっている連中も多くいたが、不思議なことに列になることもなく吸い込まれるように中へと入っていく。


 それこそ、この社務所内に収まりきれないはずの人間が入っているはずなのに。


「ようこそ、おいでくださいました」


 無機質な声。


 巫女服に身を包んだそれは、丁寧なお辞儀をした。


 周囲に人影がない。となりにいるのはマホちゃんだけで、同時に社務所へと入った他の人間は消え

ていた。


 それだけでも十分に不思議なのだが、一番の違和感は、


「それでは、これより貴方様が受けるべき試練をお伝えします」

 

 そう言った彼女が人間によく似た絡繰り仕掛けの人形だったことだ。

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