いざダンジョンへⅡ
2日も投下が遅れて申し訳ありませんでした!
今日からまた再開しますので何卒よろしくお願いします!
「小白川ダンジョンへようこそ! それでは入場手続きのご案内をさせていただきます」
あまりにはきはきとしすぎた声と無駄に明るい笑顔にげんなりとした気分になる。
受付のお姉さんとしては真面目に仕事をしているだけなのだろうが、どうにも子供っぽすぎて気合いを入れてきた自分が馬鹿らしくなる。
「今回入場手続きの担当をさせていただく三島と申します。なにとぞよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「あっと、よろしくお願いします」
マホちゃんが言った。
おれも続くが言葉に詰まってしまった。
教師と生徒というのが丸わかりの反応。受付のお姉さんは馬鹿にするような態度には出さなかった
が、どこか柔らかい雰囲気で笑った。
ここは市内唯一のダンジョン施設。
おれとマホちゃんはそこに入場するために手続きを行っていた。周囲には観光客と思しき外人や家族連れ、果ては西洋甲冑やマンガのキャラと同じ服装をした連中までいる。
このカオス具合がダンジョンの醍醐味らしいが、平日と比べるとむしろ落ち着いている方らしい。
今日は土曜の休日だからプロの連中が少ない、とマホちゃんは言っていた。
プロとはもちろん冒険者のことで、マホちゃんの言葉を信じるならプロの連中はよほどヤバい連中だということになる。
…さすが冒険者だな!
「それでは、まずは登録を開始します。身分証明書はお持ちですか?」
そこからの手続きは簡単だった。
住所、氏名、年齢、性別、学校名。個人情報や誓約書などを記載していく。保護者からの委任状が必要だと受付のお姉さんは言っていたが、マホちゃんが対応して事なきを得た。
「保護者であり担任教師。これほどわかりやすい身元の証明もあるまい」
「職権濫用じゃね?」
頬をつねられた。
痛い。
まぁ、とにかくそんなこんなで受付は無事終了。スキルの測定でもあるかと思ったが、それもマホちゃんが診断書を渡したおかげでスルー出来た。
…どうやらまたマホちゃんに借りが出来たらしい。
驚いたのは最後にアプリをインストールさせられたことだ。
アプリを開き、登録を行っていく。
内容登録が完了するとそのままアプリが開始した。
「以上で入場の手続きは終わります。続いてダンジョン探索の注意点をお伝えしたいのですが」
ちらり、とマホちゃんの方をみる。
マホちゃんはうなずいた。
「では、注意点をお伝えします。アプリを開いて、画面に触れてください。そう、そのページです。今回の探索における範囲は第一層から第三層まで。モンスター出現地域や休憩スペースについてはスマホへマップデータを送信するのでご確認ください。その区間で採取した素材については当施設で買い取らせていただきます。間違っても当ダンジョン外での売買を行わないでください。行った場合は半永久的な入場禁止措置と懲役十年以下の実刑と賠償金が請求されることとなります」
具体的な法令や過去に罰せられた判例が画面に記載されていく。…マンガ調になっているが、よくよく読むと洒落になってない内容が記載されている。
なんだよ、十代で借金地獄に落ちたA氏とか。組織化した密漁グループが摘発された部分ではコミカルな絵柄で犯人達が屍になっている。
「また、ダンジョン内でモンスターに遭遇した場合はスマホの写真機能を利用することで種族や討伐レベルを調べることが出来ます。今回の申請における階層では危険レベルの高いモンスターは事前に駆除されていますが、十分に注意してください。万が一、討伐レベルの高いモンスターと遭遇しても当方は一切の責任をおいませんので、その点もご了承ください」
画面には何種類化の危険モンスターの画像が写っている。正直実物をみないとぴんとこないが、とにかくでかい奴がやばいってのはなんとなくわかった。
なんだよ、体長五メートルって。
「内容の説明については以上となります。他に疑問点などはございますか?」
受付嬢の質問に無言で視線を返す。
正直言って聞きたいことはない。受付嬢の説明はいくつか知らないことがあったが、だいたいの流れは事前に調べていた通りだったからだ。
なにより今回はマホちゃんとの実地訓練。
受付嬢の話よりもマホちゃんから訓練内容を聞き出す方が先決なのだ。…以外に鉄壁過ぎて欠片も教えてくれなかったが。
「では、以上で入場手続きと注意点について説明を終わらせていただきます。それでは良きダンジョンライフを!」
受付嬢はまたも満面の笑みを浮かべて入場ゲートを指さした。
無数の人が群をなしてゲートを潜っている。
不思議だったのは剣や槍、鎧などを着込んでいる人間が見あたらないことだった。
「第一層から第三層までは観光目的にモンスターの討伐を徹底している。受付の説明では濁していたが、この階層で討伐を出来るのは体験場に行った時だけだ。そこで武器の貸し出しもやっている」
「へえ。じゃ、さっきの説明は脅しみたいなもんなの?」
「そう言った方が盛り上がるからだろう。アトラクション前のお約束だ」
「そうなんだ」
身も蓋もないマホちゃんの言葉に思わず納得してしまう。
とにもかくにも入場ゲートへ向かう人の群におれとマホちゃんは向かった。
日本語、英語、中国語などが入り交じっている空間は、想像していたダンジョンのそれとは違ったが。
おれはようやく冒険者としての一歩を踏み出したのだ。




