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名づけ

ブックマークありがとうございます!

今後も毎日投下していくので何卒よろしくお願いします!



 誰かの名前を決めるなんて経験は今までなかった。


 犬や猫を飼ったこともないし、飼育委員になったこともない。唯一ゲームかなにかで主人公の名前を決めたこともあるが、それだってもともとある名前で押し通していた。


 昨日の晩にルシエルからそうすべきだと言われても、正直今一ピンとこなかった。


 だから、今目の前でおれを見つめる少女に対してなにを言えばいいのかもわからなかった。


「す・て・き・な名前をお願いしますね」

 

「お、おう」

 

 そんなおれの心情を察知したのか少女は満面の笑みを浮かべて、圧をかけてきた。思わず返事をしてしまうほど曇りない笑顔。だが、細くなった瞳は決して笑っていない。


 まぁ、自分の名前だから当然なのかもしれない。


 むしろ、それを意識して固まっちまったおれの方が問題ある気きがしてきた。


「気負ってもしょうがないでしょ。適当に決めちゃいなさいよ」 


 そんなおれの心情を察したのか、ルシエルは気軽にそう言った。


 確かに、こういうのはあまり考えすぎても仕方ない。


 直感に従って選ぶべきだ。


 だから、おれは、


「スカーレットだ」


 そう名前をつけた。

 

 直後、まるでコマ送りのように。


 一瞬前までそこにた少女の姿が、まったく別の姿に変貌した。


「…はい?」

 

 流れるような艶やかな銀髪が揺らめいた。無邪気さを滲ませていた赤い双眸が、まるで氷のような冷徹さと深い知性を宿している。十代特有の華奢な肉体から女性らしさを備えた肉体へ。身長すらもおれを追い越し、日本人でありえないスタイルをした異国の美女が目の前にいた。


「ふむ」


 少女は、スカーレットは自分自身の変化を確認するように全身を見回している。


 豊かな胸元、括れたウエスト、突き出たヒップ。四肢はこれなでみたどんな女性のそれよりも細くしなやか。


 服装もひらひらのドレスから肉体ラインを正確に見せつけるものにかわって、なんというか、まぁ、率直に、ストレートに言ってエロかった。

 

 エロいのに、美しい。


 その所作もどこか気品があって、まるで目を離せなくなった。


 一言。


「なるほど、ハチはこういうのが好みなんだな」


 スカーレットはにたりとした笑みを浮かべる。


 おれの視線にも当然気が付いている。その上でスタイルを強調するようなポーズまでとるのだから、正直、まぁ、ぶちゃけ、目に毒すぎた。

 

 毒だとわかっても逸らすことなどできない。


 ますます意地悪になっていう笑顔すら美しすぎて、おれは全身に鳥肌がたつのを感じた。


 不意に、


「最っ低ですね」


 そんな相変わらずのキャラを崩壊させたような呟きが近くで聞こえた。


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