少女の処遇とこれからのこと
一気にブックマークや評価が増えてびっくりしました!
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「っしゃあ! やってやったぜ、このやろう! ざっまぁみろぉっ!」
「うっさい。ドラマ見てんだから静かにして」
進路相談から全力疾走で帰宅し、居間についた瞬間には叫んでしまった。
ルシエルはスナック菓子を頬張りながら朝ドラ(再放送)を見て迷惑そうにしていたが関係ない。おれはいても立ってもいられず全身で喜びを噛みしめた。
「うおおお、やってやるぜバカ野郎! この野郎! くそったれがぁっ!」
「だから、うっさいって言ってんでしょ! この馬鹿!」
「うるせえ! 誰もおれを止めらんねえんだよぉ!」
…まぁ、我ながら馬鹿だってのはわかってる。わかってるがやめらんねえ。
ここ数ヶ月で、おれがどれだけ悔しい思いをしたか。中体連で負けたときともまるで比べもんにならねえくらいの喪失感。本気で自分が空っぽになったとでも言えばいいのか、まじでなにを食ってもなんの味もしなかった。
それがロスタイム終了直前一発逆転弾並の一発を決めたのだ。これが嬉しくないわけがねえだろうが…!
「あんたさ、浮かれんのもいいけどそれが誰のおかげかわかってんの?」
「おう、ありがとう!」
「…いや、まぁ、どういたしまして」
なぜか歯切れの悪いルシエルにお礼を言う。面倒くさいやつに関わっちゃったな的なノリだったが気にしない。おれも今のおれみたいな奴と会ったら絶対どん引きする。わかってる、自覚はあるんだ。
でも、やめない。
「いやっほぉおおお! ふぉおおおおお!」
「うるさい」
不意に、ルシエルとは別の少女が声が聞こえた。
予想外すぎて一気にテンションが落ち着いた。部屋の隅で膝を抱えた少女はジト目でおれを睨んでいる。
昨晩出会ったラスボスと呼ばれた少女。
赤い槍はなく、一見しただけだとなんの変哲もない少女にしか見えない。
「やっとしゃべったな」
「……」
無言。
少女はジト目のままおれを見つめている。
…まぁ、これでも大分マシになったのだ。
昨日の夜に目が覚めたときには大変だった。泣きながら拳を振り回して叫ばれた時は近所の人に通報されるかと思ったが、朝の挨拶から現在に至るまで何事もなく済んでいる。
「…おうち」
「ん?」
「おうち、なくなっちゃった」
一瞬時が止まった(おれだけ)。
思わず天を仰ぎたくなったが、すぐに素知らぬ顔をした元凶をにらみつける。
しれっとしたままなので確信犯だと理解した。
少女はジト目でこちらを見ている。
…お前、それはじめとキャラ違いすぎだろ。
無言の視線が容赦なく注がれる。何か言おうか迷ったが、結局言うべきことは一つしかなかった。
というか、大分前に決めていたのだ。
「…あー、わかってるよ。しばらくここにいればいいだろ。どうせ、親父もお袋もしばらく帰ってこないしな」
ため息混じりの言葉に少女はなぜかガッツポーズをとった。
…正直こんなとこにいたいと思う方が不思議だったが、居場所がない人間には大事なことなのかもしれない。
「さて、話はまとまったわね」
ぱんとルシエルは両手を叩いた。確信犯め。まぁいいさ。流されたようだが、俺自身も考えて決めたことだ。
「さっそく、やるべきことをやりましょ。時は金成ってね」
「それはいいけどさ。昨日の話は本当なのか?」
おれの言葉にルシエルは不敵な笑みを浮かべた。
「ええ。あたしにはスキル目覚めさせるスキルとスキルを合成するスキルがある。これで、あんたも一人前の冒険者に早変わりってね」




