はじめの一歩
ブックマーク、文章評価いただきありがとうございます!
滅茶苦茶やる気が上がってます!
明日以降も投下していくので何卒よろしくお願いします!
「信じられん……」
うめくような低い声でマホちゃんは言った。判定結果が写る端末を凝視し、今まででトップテンに入るくらいに渋い表情をしている。
進路指導室。
今までなんの為にあるのかわからなかった部屋で、おれはマホちゃんと二人きりで将来について語り合っていた。
「ハチ、一体なにをした? いくらなんでもこれはありえない。どうして、こんなに急にスキルが」
「努力の結果ってやつですよ。これでおれはダンジョンに行ってもいいんでしょ」
む、とマホちゃんは押し黙った。
とびきり険しい表情をしているのは困っているからだ。意外と予想外の出来事に弱いマホちゃんはこうやって時間稼ぎに入ることが多い。
大抵の場合はそこにつけ込むんだが、今回はそんな必要もない。
なにせ、おれは間違っていないのだから。
スキル判定なしではなく、あるのだから。
「…わかった。この結果はすばらしい。おめでとう」
マホちゃんは表情を和らげて、そう言った。
…言葉だけだとどこか含みのあるように聞こえるが、マホちゃんに他意はない。純粋におれを祝福してくれている。
「へへ、ありがとう」
「だが、すぐダンジョンに入れる許可が出るわけじゃない。その辺はわかっているな」
「もちろん」
ダンジョンに入るためにはいくつかステップを踏む必要がある。
大前提としてスキルがあること。
第二に研修期間を経て、教官となる先輩冒険者からの推薦を受けることだ。
「よし。さっそくだが、研修は土曜に行う。プログラムについては後で送るからきちんと目を通しておくように」
「はい!」
思わずガッツポーズを取ってしまった。
ようやくだ。
ようやく、これで一歩が踏み出せた。
「浮かれるのもいいけど、きちんと準備をして挑むように。研修は実地で行うから気を引き締めなさい」
いいわね、とマホちゃんは言う。
実地とはもちろんダンジョンのことだ。研修では、ダンジョンでは実際のモンスターの討伐と素材の回収の仕方、ダンジョン内での立ち振る舞いや緊急時の対応を学ぶことになっている。
なにをするかについては事前に学習している。
あとは実地でそれを如何に身につけるかだけの話である。
「了解しました、教官殿」
「よろしい。…しかし、驚いたな。まさかこんなことになるとは」
マホちゃんは端末の画面をもう一度見て、深く息を吐いた。
おれは内心鼻高々である。
スキル判定なしの落ちこぼれがわずか一晩で真っ当なスタートラインに立つことができた。
しかも、
「観察眼、ねえ。正直探索でそれほど役に立つとは思えないんだがな」
自力で、スキルを取得したのだから。
【スキル】観察眼
物体の変化、本質を見抜くことに長ける。




